| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二十六話 部活ではその十

「海外の手紙にバロンとか自称して書いてるし」
「爵位あったの」
「なかったけれどね」
「爵位も欲しかったの」
「そうだったみたいよ」 
 バロンとは男爵のことだ、この爵位を授かると当時は華族になった。
「どうやらね」
「色々酷い人だったのね」
「そんな人と比べたら」 
 それこそというのだ。
「三島由紀夫はね」
「かなり凄いわね」
「森鴎外がチートなら」
 それならというのだ。
「三島由紀夫はね」
「遥かにチートね」
「そうなるわ、というか森鴎外をチートって言ってきゃっきゃ言う人なんて」
 同級生は軽蔑の目で話した。
「駄目駄目よ」
「人を見る目ないわね」
「作品はよくてもね」
「お医者さんとして、人間としては」
「最低だったのよ」
 そうだったというのだ。
「本当にね」
「作家としても森鴎外はいいのね」
「ええ、けれどね」
「お医者さん人間としては」
「お勉強出来てチートよとか目をハートにさせて言うなら」
 それならというのだ。
「そうした一面もね」
「見ないと駄目ね」
「そうよ、下手にエリートだった分ね」
「余計に始末に悪かったのね」
「どうもね」
「そんな人だったのね」
「夏目漱石もイギリス留学をしてね」
 この時の話を作品にもしている。
「エリートだったけれどね」
「あの人もね」
「けれど鴎外さんの方がね」
「エリートだったのよね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「同じエリートでもね」
「鴎外さんは別格ね」
「だって鴎外さんは陸軍のよ」
「軍医さんのトップね」
「だったらね」
「同じ東大出身で留学していても」
「格が違うのよ」
 こう咲に話した。
「流石にね」
「作家さんとしては同格位でも」
「当時の社会的な地位だとね」
「鴎外さんは圧倒してたの」
「間違いなくね」
 その為か鴎外は高踏派と呼ばれることもある、文学でも上から見ているところがあるとされたからであろうか。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧