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イベリス

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第二十六話 部活ではその九

「それで政治活動もね」
「それは私も知ってるわ」
「物凄く残念なことになったけれどね」
「そうよね」
「けれどやっぱり何もかもが絵になる」
「素敵な人だったのね」
「それでいて女性には淡泊そうだったし」
 同性愛に傾倒していたという話もある、武士道を学びそれを究めんとしてそちらに行ったのであろうか。
「愛人さんもね」
「いなかったの」
「金銭欲も権力欲もなくて」
「ううん、かなり凄い人ね」
「お金と名声は手に入れていたけれど」 
 世界的なまでにだ。
「けれどね」
「そうした欲もなくて」
「凄くいい人だったみたいよ」
「そうなのね」
「人間としてはね」
「色々完璧ね」
「森鴎外がお勉強凄くてチートって言う人いるけれど」
 伊達に国家が留学に行かせそこで抜群の成績を見せた訳ではない。
「この人実はお医者さんとしても人間としても最低だからね」
「何かあったの」
「脚気あるでしょ」
「あの病気ね、栄養失調でなるのよね」
「ビタミンB1が不足していたら」
「それでなるのよね」
「白いご飯ばかり食べているとね」
 それでとだ、同級生は咲に話した。
「なる病気で」
「白いご飯だけじゃ駄目ってことね」
「そう、脚気って玄米か麦ご飯食べるとね」
 それでというのだ。
「治って海軍じゃそれで脚気流行ってなかったのに」
「あの陸軍よね」
「陸軍の軍医の偉いさんだったのよ」
 最後は陸軍軍医総監即ち陸軍の軍医のトップになっている、階級で言うと中将に相当する位である。
「エリート中のエリートだったから」
「今で言う東大医学部卒業よね」
「それでドイツに留学してね」
「抜群の成績収めたのよね」
「それで文才もあって」
 そしてというのだ。
「多くの小説や翻訳や評論を書いてるけれど」
「脚気のことで」
「そう、海軍のそれをあくまで認めないで」
 細菌学を学んでいたので脚気菌を必死に探していたのだ。
「陸軍は白米を食べ続けて」
「脚気の人増えたの」
「物凄く増えて」
 脚気患者がというのだ。
「あの病気下手したら死ぬから」
「死んだ人も多かったの」
「それでも頑として認めなくて」
「お医者さんとして最低ね」
「しかも舞姫って」
「ああ、あの作品実は鴎外さんよね」
「あの人のお話だっていうし」
 彼の友人の話であったという説もある。
「変にドイツ崇拝凄くてマザコンで権力欲強くて」
「いい人じゃなかったの」
「ライバルって言われる夏目漱石もヒス持ちでDVだったけれど」
 奥さんや子供に暴力を振るっていたという。
「当時は普通でもね」
「今じゃ離婚されるわね」
「そんな人だったけれど」
「鴎外さんよりましだったのね」
「ずっとね、とにかくこの人酷いから」
 森鴎外の医者としての功績そして人間性はというのだ、この場合は本名である森林太郎の話になるであろうか。 
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