八条学園騒動記
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第六百三十五話 厳しい戒律を胸にその一
厳しい戒律を胸に
店じまいは無事に終わった、するとだった。
ギルバートはアンにこう言った。
「出るか、後夜祭に」
「ええ、ただね」
アンはギルバートの誘いに顔を赤くさせて応えた。
「ちょっとね」
「どうしたんだ」
「いえ、後祭夜に出るお料理だけれど」
「それのことか」
「私イスラエル人だから」
即ちユダヤ教徒だからだというのだ、この時代でもイスラエル市民になるにはまずユダヤ教徒でなければならないのだ。
「そちらはね」
「親子関係はだな」
「駄目だし」
「他にもだったな」
「豚肉とか海老とかね」
「そうしたものはだな」
「駄目だから」
それでというのだ。
「ちょとそのことをね」
「考えたか」
「この辺りイスラムもだけれどね」
「そうだな、しかしイスラムはな」
ギルバートは自分が信じる宗教について話した。
「そこはな」
「寛容よね」
「アッラーに謝罪すれば」
「お食事位はね」
「いい」
「そうよね」
「アッラーは寛容だ」
イスラムの神はというのだ。
「大抵のことは許してくれる」
「お酒もよね」
「だから実は結構飲んでいる」
「イスラムの国でも」
「そして豚肉もな」
「実はよね」
「食べているしな」
その様にしているというのだ。
「これでな」
「そうよね」
「殺人や偶像崇拝でもないとな」
「イスラムはいいのね」
「絶対なタブーはあるが」
それでもというのだ。
「占いもいいしな」
「実は当たらないからするなって言ってるのよね」
「そうだがな」
「イスラムの占星術って有名だしね」
「何度も言うはアッラーは寛容だ」
尚何かと厳格なユダヤ教の神とこのアッラーは同じ神だとされている、少なくともイスラムではそうなっている。
「多少のことではな」
「怒らないのよね」
「そうだ、ただな」
「ただ?」
「本当に偶像崇拝や殺人は駄目だ」
これはというのだ。
「死刑にもなる」
「そうよね」
「それでも焼き肉を食べてな」
「ワイン位はいいのね」
「焼き肉が豚肉でもな」
そうであってもというのだ。
「いい、ただ僕はお肉は」
「羊肉よね」
「ラムやマトンが一番好きだ」
「そうよね、まあ兎に角戒律に反しないなら」
「アンもいいな」
「ええ、けれどコーランじゃ何でもないことでも」
アンは宗教の話をさらにした。
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