恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十一話 怪物達、また騒動を起こすのことその五
八神はだ。ベースを演奏していた。その演奏は。
草薙のギターと見事に合っていた。そのうえでアテナのヴォーカルを支えている。
その演奏を聴いてだ。誰もが言った。
「あの八神の演奏凄いよな」
「ああ、ここまで演奏できるってな」
「あいつ才能あるよな」
「天才じゃないのか?」
「こんな演奏滅多にないぜ」
こうだ。兵達も民衆も言う。しかしだ。
八神はあくまで冷静だった。それでだ。
こうだ。彼は演奏の合間に言った。
「今日は調子がよくない」
「そうか?」
「凄い演奏だと思いますけれど」
「指の動きが今一つだ」
こうだ。テリーとナコルルに話すのである。テリーはドラム、ナコルルはキーボードだ。この配置は前から全く変わってはいなかった。
その中でだ。彼は言うのだった。
「だからだ」
「おいおい、その演奏でか」
「そう言われるのですか」
「俺にはわかる」
八神自身にはだというのだ。
「それはな」
「確かにな」
ここで言ったのは草薙だった。丁度茶を飲んでるところだった。
そこでだ。草薙は言ったのである。
「今日は今一つだな」
「わかるか。それが」
「わかるさ。御前のベースはいつも聴いてたからな」
「だからか」
「で、俺の演奏はか」
「ふん。いつも通りだな」
そうだとだ。草薙に対して言う八神だった。
「貴様の指は」
「これでもいつも練習してるしな」
そのだ。ギターをだというのだ。
「普段から動かせる様にな」
「鍛錬か」
「いや、趣味さ」
それだというのだ。草薙は。
「作詞のついでにな」
「貴様の作詞は駄目だ」
それにはこう言う八神だった。
「あれだけでは駄目だ」
「へっ、そう言うのかよ」
「そうだ。それに対して俺の作曲はだ」
「御前の作曲も滅茶苦茶だろうが」
「そう言うか」
「実際そうだろ。違うのかよ」
こう話すのだった。お互いにだ。
そのことを言い合いながら。しかしだった。
その二人のやり取りを聞いてだ。曹操が言うのだった。
「つまりあれね」
「あれとは?」
「あれといいますと」
「草薙の作詞と八神の作曲を合わせたらいいのよ」
こう夏侯姉妹に話すのだった。
「草薙の作曲と八神の作詞は知らないけれど」
「その二人を合わせればですか」
「それでいいと」
「そうあるべきよ。あの二人はあれでね」
曹操の目ではだ。わかることだった。
「相性がいいわね」
「そうですか?常に殺し合っていますが」
「あの剣呑な雰囲気にあってもですか」
「あれでお互いを認めているのよ」
そうだとだ。曹操は話す。
「そういうものなのよ」
「ううん。そうなのですか」
「あの二人は」
「そうよ。確かに殺し合っているわ」
このことは否定できなかった。曹操にしても。
「けれどそれでもなのよ」
「認め合っている」
「御互いに」
「強敵ね」
曹操もだ。この言葉を出した。
「まさにね。だから」
「だから?」
「だからといいますと」
「あの二人はどちらかがいなくなったら」
そうなればどうなるかというのだ。
「物凄く寂しくなるわ」
「寂しくですか」
「そうなりますか」
「ええ、なるわ」
曹操は二人の関係をここまで見ていた。
「どちらかが生き残ってもね」
「そうですか。草薙君も八神も」
「二人はそうした関係ですか」
夏侯惇は何気にだ。草薙を君付けだった。
そしてだ。それはだ。
夏侯淵もだ。こう言ったのだった。
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