恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十一話 怪物達、また騒動を起こすのことその四
「別にいいわよね」
「うん、そっくりだしいいんじゃないかな」
許緒はにこやかに笑って答えた。
「世の中色々あるし」
「けれどよ。八神庵が草薙君と一緒なんて」
そのことがだ。どうしてもと言う荀彧だった。しかしだ。
八神は草薙と息の合った演奏をはじめている。それを見てだ。
荀彧はあらためてこう言った。
「けれど」
「そうだね。演奏自体はね」
「上手いしそれに」
「草薙さんと息が合ってるよね」
「あの二人ってまさか」
ここで荀彧は気付いた。そのことに。
「相性はいいんじゃないかしら」
「相性は?」
「ええ。確かに殺し合う関係だけれど」
そのことはだ。こちらの世界の面々もわかっている。
「けれどそれでもね」
「相性はいいのかな」
「そうじゃないかしら」
こう言うのである。
「そうではないとあそこまで息の合った演奏はできないわ」
「じゃああれかな」
許緒は考える顔になり荀彧に述べた。
「ライバルなのかな」
「あれよね。強敵と書いて」
「ともと呼ぶね」
「あちらの世界の言葉だったわね」
「馬鹿みたいな戦争の後の世界で出て来る言葉らしいね」
ある意味において伝説の言葉である。その世界も。
「それじゃないかな」
「確かに。言われてみれば」
荀彧もだ。頷くのだった。
「あの二人はそんな感じよね」
「八神さんって確かに怖いけれど」
許緒から見てもだ。その殺気はそうしたものだった。
「けれどこっちから何もしないとね」
「あっちからは仕掛けてこないから」
「そうなのよね。確かに物凄い殺気で」
軍師であり武器も持たない荀彧ですらだった。
「何人も殺してるのはわかるわ」
「あの人結構殺してるよ」
流石に今は許緒も顔を曇らせる。
「目だけでわかるから」
「そうなのよ、あの目」
「あの目って普通に生きてたらならないから」
「鋭くてしかも」
尚且つなのだ。
「剣呑な光出してね」
「だから桂花さんも絶対に喧嘩したら駄目だよ」
「というか私格闘とかできないから」
「あれっ、けれど今剣持ってるじゃない」
見れば今の荀彧の腰にはそれがある。柄は白だ。
「それは飾り?」
「飾りよ。女王陛下だから」
「ただ持ってるだけなの」
「そう、指揮に使うだけだから」
それだけの剣だというのだ。
「別に何も」
「そういうものなのね」
「そうよ。だから特に」
また言う荀彧だった。
「気にしなくてもいいわ」
「何だ。桂花さんも戦えるのかって思ったけれど」
「私そういう役少ないわよ」
「そうだよね。結構腹黒いロリだよね」
「何でそこでそうなるのよ」
「だって自分でも言ってるじゃない」
無邪気そのものの笑顔でだ。許緒は話す。
「得意なのはそういう役だって」
「まあそれはそうだけれど」
「けれど大人にもなれるんだね」
「女王になったのははじめてだったかしら」
荀彧は自分で振り返りながら言う。
「多分だけれど」
「そんなに中身が同じ人多いの?」
「それは貴女も同じじゃないの?」
「あはは、そうかも」
こんな話をする二人だった。その二人の前でだ。
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