僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結
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5-⑵
年が明けてからも、お店のほうは順調だった。お弁当も定期的に注文をして下さる所も増えてきていた。
今日はお店の定休日なので、私は、堤さんへの待ってくれていた工事代金を、支払いに行った。
「まだ、良かったのに、本当にもう大丈夫なの?」
「えぇ 年末も思っていたより、好評でしたし、売り上げも順調ですし、早く、お返ししないと落ち着かなくて」
「えらいな君は 若いのに あぁ そうだ 年末の 親方が喜んでくれたよ うまかったって 今度、お店に食べにいくって言っていたよ ありがとうね」
「いいえ こちらこそ いつも 気に掛けてくださって、ありがとうございます」と、お礼を言って事務所を出た。
私は、バーガーショップのテラス席でお昼を食べていたんだけど、その時、道端から
「キヨ 早く 早く みんな行ってしまったよ」と、大きな声で叫んでいるのが聞こえた。道路のほうを見ると、髪の毛を赤茶に染めて、真っ赤なミニスカートの女の子が走って、そのバイクの男のほうに走って行くのが見えた。「ゴメン 店の女がトロいからさー」と言って、バイクに跨ったと思ったら、直ぐに走り去っていった。
「キヨ」って、あの子、清音じゃぁ。髪の毛、赤茶だったけど、似ていた。私に。昔の面影もあったわ。でも、あの子、まさか、あんな恰好しないわよ。真面目で、おとなしい性格だったから。
バイクが走り去ったほうを見たが、もう、信号を曲がって姿も見えなかった。お母さんと清音はどうしているんだろうかと、心が痛みながら、家に帰った。戻るとお父さんが
「美鈴 牡蠣が食べたいな」と言って来た。お父さんがそんなこと言うのは、珍しかった。
「えぇー どうやって、食べたいの?」
「そうだなぁ グラタンが良いな」
「うーん そうか じゃぁ お買い物に行こうよ 一緒に」と、言って、私は、着替えた。なぜか、ジーンのミニスカートを穿いた。寒いけど・・。
表に出て、私はお父さんと腕を組んで歩いていると、前から大きな犬を連れた女の人がやってきた。
「ダイゴ 元気かい」と、お父さんはが手を広げると、その犬は喜んで尻尾を振りながら、お父さんに寄ってきた。お父さんも、その犬の頭を撫でていた。
「中道さん 今日は、若い女の人と仲良くデートですか?」と、その女の人が話しかけてきた。
「そうだよ 娘でね これから、買い物に行くんだよ」
「あら そうなの こんなきれいな娘さんがいらっしゃったんですか 初めまして、田中です お父さんは、ちょくちょくダイゴに骨を持ってきてくださるんですよ」と、挨拶された。
「前から お知り合いなの?」って別れた後、お父さんに聞くと
「うん 散歩の途中でな ダイゴが懐いてくれてな あの角の家だよ この辺の区長さんだよ」
「そうなの あのワンちゃんも可愛いもんね」
家に帰ると、早速、お父さんは、ベシャメルソースを作り始めた。私は、側でいろいろ教えてもらいながら、お手伝いしていた。
「このソースをベースに、グラタンのソースも作るんだよ。これをベースにしてクリームコロッケも作っているんだ。」
出来上がったグラタンはさすがにおいしかった。ふたりで食べていると
「そういえば、光瑠ちやんが晋さんにクリームコロッケの作り方を教えて欲しいって言って、晋さんのところに行くような約束をしていたな」と、お父さんが
「えぇー 何でそんなことになっているのー そんなこと聞いてないわよー なんか、しきりに光瑠 晋さんの側に居るなって思っていたけど」
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