東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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招かれし者(松上敏久)
サイキョー(笑)の「だらず」
翌朝。
敏久は霊夢に『境内の雪かきをお願いね』と言われ、雪かきをしていた。
積雪量は40cmといったところか。
敏久が幻想入りするまで住んでいた鳥取市も冬は平野部でも30cmほど雪が積もる土地なので雪かきには慣れていた。
ー
ーー
ーーー
しばらく黙々と雪かきをしていると霊夢が熱いお茶を持ってきてくれた。
霊夢「お疲れさま。お茶を淹れてきたからちょっと休まない?」
敏久「おお、そうだな」
縁側に座り、2人で淹れたての熱いお茶を楽しむ。
境内をすっぽり覆っていた雪は参道が見える状態になっていた。
霊夢「それにしても早いわね。まだ1時間しか経っていないわよ?」
敏久「鳥取も雪が積もるけえな、雪かきは慣れとるんよ」
霊夢「ふふっ、ずいぶん頼もしいのね」
お茶を飲みながらたわいもない会話をしていると、空の向こうから黒い塊のようなものがふよふよと飛んでくるのが見えた。
霊夢「こっちよー」
声が聞こえたのか、それはまっすぐこちらへ向かってくる。
やがて塊は縁側の前に来て止まった。地面に降り立ったらしい。よく見るとそれはブラックホールのように中心部分に行けば行くほど真っ暗だった。
闇の濃度がどんどん薄くなっていく。すると、黒いスカートを履き黒い上着と白い長袖シャツを着て、頭にリボンを結んだ金髪の少女が現れた。
?「おはよう、霊夢ー!」
霊夢「おはよう、ルーミア」
霊夢が少女ーーールーミアに微笑むとルーミアもえへーと笑顔を見せる。
ルーミア「ねえ霊夢、その人だれ?」
霊夢「ん?ああ。この人は松上敏久といってね、外界人よ」
敏久「よろしくな」
ルーミア「よろしくなのだー」
ルーミアはひょいと縁側に飛び乗り、身軽に敏久の隣に座った。
ルーミア「ねえねえ敏久、貴方は食べてもいい人類?」
敏久「俺を食っても旨くはないぞ?」
ルーミア「そーなのかー」
普通の人間なら卒倒しかねない質問に敏久は平然と答えた。ルーミアが宵闇の妖怪で、さらに人間を食べることを知っていたからである。
しばらく境内を眺めていたルーミアが口を開いた。
ルーミア「ねえ敏久。私はこれから霧の湖でチルノちゃんと大ちゃんっていう友達と遊ぶんだけど一緒に来ない?」
霊夢を見ると、彼女は行ってきなさいとばかりに頷いた。
敏久「じゃあせっかくだし、行くとするかな」
ー
ーー
ーーー
ふよふよ…。
敏久はルーミアにおんぶしてもらう形で空を飛んでいた。
敏久「なあ、重くないか?」
ルーミア「平気だよー」
関西人が見たら『何でやねん!逆ちゃうんかい‼︎』とツッコミを入れるところだろうが、敏久は空を飛べないので仕方がないのだ。
浮遊すること10分、湖が見えてきた。湖の奥には真っ赤な洋館も見える。
ルーミア「あれが霧の湖だよ」
敏久「そーなのかー」
湖の畔に降り立つ。
すると緑色の髪を片結びして透明な羽を生やした少女と、青髪に青いリボンを結び、青と白のギザギザ模様(新撰組の隊員が着る陣羽織の模様に似ている)が入ったワンピースを着て氷柱のような羽を生やした少女が駆け寄ってきた。
緑の子「ルーミアちゃん、おはよう!」
ルーミア「おはようなのだー」
青い子「遅い!もしこれが最強のあたいじゃなかったら待ちくたびれて帰るところだったわよ!・・・ん、あんた誰?見かけない顔ね」
青い子が敏久を訝しむようにジロジロ見る。
敏久「俺は松上敏久。外界人だ。よろしくな、大妖精にチルノ」
大妖精「えっ、どうして私たちのことを知ってあるんですか⁉︎」
大妖精が驚いた様子で敏久に聞く。
敏久「かくかくしかじか」
ルーミア「ああ、それで“食べてもいい?”って質問にも平然と答えていたのね」
大妖精「敏久さん、何かカッコいいーーー」
チルノ「ええっ!?」
チルノ以外「」ビクッ
突然チルノが大声を上げたのでチルノ以外の3人がビクッとなった。
大妖精「びっくりしたぁ…。チルノちゃん、どうしたの?」
チルノ「なんで敏久があたいの名前を知ってるの!?」
・・・。
大妖精「チルノちゃん気づくの遅すぎ…」
ルーミア「コントなのかー?」
敏久「チルノはやっぱりバカだなw」
チルノ「な、バカって何よ!あたいはバカでも⑨でもないわよ!」
敏久「じゃあ、“だらず”だな」
ルーミア「だらず?」
敏久「因州弁(鳥取弁とも)で『バカ』という意味だ」
・・・。
チルノ「だらず…。言葉の響きが気に入ったわ!あたいったら最強のだらずね!」
ルーミア「“バカ”は駄目でも“だらず”ならいいのかー?」
大妖精「チルノちゃん。それ、“私はバカです”って言ってるようなものだよ…」
敏久「聞いたか今の…。“最強のだらず”だとよwww」
ーーーどこの世界のチルノも⑨であることに変わりはないようだ・・・。
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