東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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招かれし者(松上敏久)
幻想入り
ーーーあれからどれほど経ったのだろうか。ふと気がつくと敏久は布団で寝ていた。
敏久「・・・んん?」
起き上がって周囲を見渡す。
木の床ではなく畳が敷いてあり、障子や襖で間仕切りされていることから察するにどこかの家の和室だろうか。
敏久「はて、ここはどこだいや?」
記憶を辿り、頭に入ってくる情報を整理しようと試みる。
たしか家に帰る途中でマンホールに落ちて…。でもなんでこんな和室に寝かされているんだ?
そういえば落下していたとき、たくさんの不気味な目に見つめられていた気がするぞ。
敏久「たくさんの……目?」
そう呟いたとき襖が開き、一人の少女が部屋に入ってきた。
?「あら、お目覚めかしら?」
肩の部分が露出した巫女装束に赤いスカートを履き、頭に同じく赤い大きなリボンをつけた黒髪の少女を見たとき、敏久は確信した。
ここが東方の舞台である幻想郷で、目の前の少女がその主人公の一人である博麗霊夢だということを・・・。
敏久「博麗霊夢…だよな?」
霊夢「アンタ、初対面でしょ?なんで私の名前知ってんの⁉︎」
楽園の素敵な巫女ーーー博麗霊夢は初対面であるはずの見知らぬ男性から名前を呼ばれたことに動揺していた。
敏久「有名人なんだから当たり前だろ?俺は松上敏久だ。決して怪しい者じゃない。よろしくな」
霊夢「有名人ねえ…まあいいわ。私は博麗霊夢。ここ、博麗神社の巫女よ。よろしく」
とりあえず握手。霊夢の手は柔らかく、暖かかった。
敏久「ところで霊夢が俺を助けてくれたのか?目が覚めたら寝かされていたんだが」
霊夢「ええ、用事を済ませて帰ってきたらアンタがそこに倒れていたのよ。まあ幻想郷では何が起きてもおかしくないからそんなには驚かなかったけどね」
敏久「やっぱりな…。するとあれは紫の仕業か」
霊夢「どういうこと?」
敏久は霊夢にこれまでの経緯を話した。
霊夢「なるほど。それは絶対に紫が犯人ね。……そうそう。コレ、アンタのでしょ?」
霊夢は敏久がマンホールに落ちる前に持っていたカバンとノートPCの入ったケースを渡した。
敏久「サンキュー。それで今後のことなんだが、俺は外界人であるがゆえに行く場所がないんだ。手伝いでも何でもするけえ、ここに居候させてはもらえないだろうか?」
霊夢「別に構わないわ。敏久といると何だか楽しくなりそうだし」
敏久「ありがとう。ワガママ言って申し訳ないが、ここはひとつよろしく頼む」
敏久は霊夢の物分かりの良さに心から感謝した。
こういう人を友に持つと、いざというとき頼りになることを知っていたからだ。
霊夢「それで、どうして敏久が私や紫の名前を知っているのよ?有名人ってのは建前でしょう?」
敏久「それはだな、これのお陰よ」
敏久は外界で「パソコン」と呼ばれる代物を取り出した。それを見て霊夢は警戒する。
霊夢「何よそれ?」
敏久「まあ見てろって」
PCの画面を開くと動作音がしてすぐにログイン画面になった。どうやら最後に使ったあと電源を切り忘れていたらしい。
パスワードを入力して決定キーを押すと、いくつかのアイコンとともに夕日に映える砂丘が画面に映し出された。
霊夢「綺麗な景色...」
敏久「だろ?鳥取砂丘といってな、俺が住んでいる鳥取市の代表的な観光地なんだ…。さてと、ここからが本番だぜ」
「東方紅魔郷(とうほうーこうまきょう)」と書かれたアイコンをクリックするとしばらくしてゲームのスタート画面になり、BGMが流れ出す。
そしてもちろん、その画面には……。
霊夢「えっ!私⁉︎」
敏久「そう。このゲームのタイトルは“東方紅魔郷”といって、霊夢たちが解決した異変がゲームになってんだ。ちなみにこれは幻想郷でいう“紅霧異変”のときだな」
霊夢「吸血鬼姉妹が起こしたアレね。その妹には特に苦労したわ…」
福岡市民(作者)「ちなみに私は初見でイージーモードをやったとき、妹様に行き着く寸前で満身創痍となりました」
・・・。
霊夢「ねえ、いま何か聞こえなかった?」
敏久「空耳じゃないか?まあともかく、これをやるうちに霊夢たちの名前を覚えたんよ」
霊夢「へえー!」
敏久の説明に霊夢は興味津々である。
霊夢「それ、私にもできる?」
敏久「おう、やり方を教えてやるよ」
敏久「まず自分が操作する自機キャラクターだが、この紅魔郷は霊夢と魔理沙の2つがある。霊夢はここでは初心者だけえ、初心者でも操作しやすい霊夢のほうがいいだろうな」
霊夢「私が私を操るというのも不思議な感じね」
敏久「そうだな。そんで次はーーー」
ーーーかくして、霊夢との共同生活が始まった。
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