カルトに染まった両親
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第二章
「自分が言う最終戦争実現の為にね」
「ネットで工作もしてるの」
「そうみたいよ、それであそこにね」
「お父さんとお母さんが入信したの」
「何か私が家出てからね」
「ああ、あんたにつきっきりだったわね」
「私もそれが嫌で家を出たけれど」
それでもというのだ。
「そしたらお仕事以外にやることがなくて」
「変な宗教にはまったのね」
「それで昨日の夜私のお家に来てね」
「あんたにも入信言ってきたの」
「あの団体信者さん増やすのに躍起だから」
教団の勢力拡大と集金の為である、こうした胡散臭い宗教団体の行動の常と言うべきであろうか。
「それでね」
「あんたにもなの」
「私は断ったわ」
「そうしたのね」
「胡散臭いから。けれどお姉ちゃんにもね」
「高校の時から縁切ったも一緒なのに?」
「ああした教団に入ったら少しでも関係あったら誘いかけるから」
妹は姉に言った。
「お姉ちゃんのところにもね」
「来るのね」
「だから注意してね」
こう言うのだった、美菜はこの時はまさかと思っていた。
だがこの日の夜まさかと思いながら休日を過ごした後で。
家に両親が来た、美菜にとっては昔から好きな顔ではなかったが今はまるで詐欺師の様に見えた。その二人は彼女が言うより前にだった。
家に入るとしきりに教団の話をしてきた、それで娘に入信を勧めたが彼女は両親に強い声で言い返した。
「真菜ばかり贔屓してたわね、子供の頃」
「そうか?」
「気のせいよ」
とぼけているというよりもう頭にない顔だった。
「そんなことはね」
「お前の気のせいだろ」
「それよりも入信しなさい」
「真菜は断ったけれどな」
「あのね、私もう親と思ってないから」
美菜ははっきりと告げた。
「あの娘ばかり贔屓されていない娘扱いされて寮に入っても一切連絡してこなかったでしょ」
「そうだったか」
「知らないわよ」
「私は覚えてるから、そんな人達にそんな胡散臭いところに誘われても」
「胡散臭い、何を言ってるんだ」
「立派な教えよ」
両親は美菜の今の言葉に怒って反論した。
「それは今言ったでしょ」
「教典もあるからな」
「よかったらあげるわ」
「そして入信するんだ」
「いらないから、何があっても入らないし」
美菜の言葉は断固たるものだった。
「縁切ったからもう来ないで」
「親にそう言うのか」
「そんな娘に育てた覚えはないわよ」
「私は覚えているから、もう出て行って」
ぴしゃりと言ってだった、美菜は二人を実際に追い出した。そして妹に連絡すると彼女は電話の向こうから言った。
「二人共ね」
「あんたのところでもだったのね」
「そんな風だったわ」
「そうなのね」
「もうね、目がね」
それがというのだ。
「おかしかったでしょ」
「全体的に胡散臭い感じだったわ」
「だからね、私はやんわりとだけれど」
「断わったのね」
「ええ、ただ縁は切るとは言ってないわ」
「そうなの」
「けれど大丈夫よ、あんなところに入ったら」
そうしたらというのだ。
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