カルトに染まった両親
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第一章
カルトに染まった両親
徳田美菜は一人暮らしである、八条運輸という会社で大学を卒業してから事務員として働いている。
黒髪をショートにしていて大きな目で赤い唇は小さい。背は一五八位でスタイルは普通位である。その彼女が今昼休みに昼食の後に同僚と行きつけの喫茶店でコーヒーとチョコレートケーキを食べながら言っていた。
「妹は滅茶苦茶勉強出来たのよ」
「そうだったの」
「外見は私とそっくりだけれど」
同僚にコーヒーを飲みながら話した。
「これがね」
「頭がよくて」
「それでお父さんが凄く可愛がっていて」
妹をというのだ。
「依怙贔屓していて」
「それであんたはなのね」
「もうどうでもいってね」
そうしたというのだ。
「感じで何でも妹優先で。お母さんもね」
「一緒だったの」
「そう、それでね」
「あんたはいらない娘だったの」
「文字通りそうよ、だからもう高校からね」
この時からというのだ。
「全寮制の学校に入って」
「お家を出たの」
「幸い学費は出してくれたし」
「それはよかったわね」
「けれどいらない娘だったから寮に入ってもね」
そうして家を出る時もというのだ。
「勝手にしろだったわ、だから夏休みも冬休みも春休みもね」
「寮にいたのね」
「大学もそうで就職しても」
「お家に帰ってないの」
「妹とは仲がよかったし今じゃあの娘八条製薬で薬の調合してるの」
「あら、理系なの」
「そう、国立大の薬学部を首席で卒業して」
そのうえでというのだ。
「今じゃ近所で暮らしていて」
「仲いいのね」
「ええ、ただ妹もね」
彼女もというのだ。
「あまり親を好きじゃなくて」
「贔屓されてたのに?」
「その贔屓が過保護って思って」
それでというのだ。
「そうしたの」
「そうだったのね」
「それで今はね」
「姉妹で親御さん達と離れて暮らしているのね」
「そうなってるの」
こう同僚に話した、兎角美菜は親とは疎遠だった。だが。
ある休日朝早く美菜は朝食を食べて家のテレビを観ているとそこに妹の真菜が来た。確かに外見はそっくりだ。ただし年齢は彼女の方が二つ下だ。
その彼女がだ、家に入れてもらってすぐに姉にお茶を出してもらう前に言った。
「お父さんとお母さんに注意して」
「どうしたの?」
「あのね」
真菜はここで前から巷を騒がしているある宗教団体の話をした、予言だの最終戦争だの言う教祖がやけに好戦的な団体だ。
「あそこにね、お父さんとお母さんが入信したの」
「えっ、あそこになの」
美菜は妹に茶を出してから驚きの声をあげた。
「あそこは」
「とんでもない団体でしょ」
「どう見てもインチキじゃない」
その教団についてこう言った。
「言ってること全部誰かの受け売りで」
「ネットで工作もしてるわ」
「最近やけに好戦的な書き込みあるけれど」
「私の見たところね」
「あそこがかなり関わってるのね」
「あそこの教祖はそうした人だから」
極めて好戦的な人物だからだというのだ。
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