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イベリス

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第二十一話 勉学もその十三

「パリーグのことはね」
「今東京にパリーグのチームないからな」
「昔は日本ハムがあったけれど」
「今は北海道に移ったからな」
「だからね」
 夫婦で話した。
「今はね」
「何処もないな」
「千葉にロッテがあって」
「その埼玉に西武があるな」
「それ位で」
 それでというのだ。
「もうね」
「僕達はパリーグに疎いな」
「どうしてもね」
「そうだよな」
「私もパリーグよく知らないけれど」
 咲も野球はヤクルトだ、子供の頃から巨人なぞという悪の権化のチームは応援するものかと神に誓っている。
「幾ら何でもお父さんは極端よ」
「埼玉を嫌い過ぎるか」
「その辺りの草でも食べておけなんて」
「あくまで冗談だがな」
「そうなの?」
「ああ、しかし埼玉には行きたくない」
 絶対にという言葉だった。
「本当にな」
「東京か神奈川ね」
「せめて千葉だ」
「千葉より埼玉の方が田舎?」
「お父さんはそう思っている」
「そうかしら」
「自衛隊の基地が二つのあるんだ、海自さんのな」
「お父さん海上自衛隊好きだったわね」 
 咲はここでこのことを思い出した。
「そういえば」
「軍服いや制服が恰好いいからな」
「だからなの」
「子供の頃から好きなんだ」
「自衛隊の中でも」
「そうだ、親切な人も多いしな」
「航空自衛隊の方がいいでしょ」
 母はこちらだった。
「自衛隊なら」
「パイロットの人がいるから?」
「戦闘機あるでしょ」
 こう娘に答えた。
「だからね」
「お母さんはそっちなの」
「自衛隊はね、あの濃い青の制服もいいし」 
 恰好いいというのだ。
「だからね」
「それでなの」
「お母さんはそっちよ」
 三つの自衛隊で一番好きなのはというのだ。
「どれかっていうと」
「私は三つ共だけれど」
「埼玉は海がないから海上自衛隊の人達も殆どいないしな」
「だから余計になの?」
「そうだ、埼玉は嫌だ」
「兎に角お父さんが埼玉嫌いなのはわかったわ」
 飲みながら言う父に応えた、そして父との話が終わるとまた勉強に戻った。咲はこちらも頑張っていた。


第二十一話   完


                  2021・7・1 
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