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イベリス

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第二十一話 勉学もその七

「どうしてそうした人って大したことないんですか?」
「ああ、そんなの当然だよ」
 先生は咲にこう返した、自分の席に座っている自分のところに立ってそのうえで向かい合っている彼女に対して。
「他の人ばかり見ていると」
「それで、ですか」
「自分は見ていないからね」
「だからですか」
「しかも悪いことばかりね」 
 まさにというのだ。
「見ていて言っているからね」
「大した人にならないですか」
「自分を見て悪いところはなおしていって」
 先生は咲にさらに話した。
「いいものを見て考える」
「そうしないとですか」
「人はよくならないからね」
「だからですか」
「そうした人は大した人じゃないんだよ」
「そうですか」
「ああなったら駄目だよ」 
 こうもだ、先生は咲に言った。
「先生は与党も好きじゃないけれどね」
「野党もですか」
「嫌いだからね、特にね」
「ああした人達はですか」
「大嫌いだよ、自分のことは棚に上げて」 
 そうしてというのだ。
「ああしてね」
「文句ばかり言う人はですか」
「そうだよ、自分を見ることだよ」
 そうしなければ駄目だというのだ。
「さもないとああなるよ」
「ああはなるまいですね」
「反面教師だから」
 そうした人はというのだ。
「気を付けてね」
「ああはならない」
「そうした風にね」
「そうですか」
「他の人を見てそれからでもいいから」
「自分も見るんですね」
「そうするんだよ、ああはなるまいって思うことこそが」
 まさにというのだ。
「大事なんだ」
「人間にとって」
「顧みる」
 自分をというのだ。
「このことは本当に大事だよ」
「自分を見ることですか」
「説教好きな人なんてね」
 先生も言うのだった。
「おおむねね」
「大したことないのは」
「それだよ」
「他の人のあげつらいばかりしていて」
「自分を見ないからだよ」
 それ故にというのだ。
「反省してあらたまることがないからね」
「大した人にならないんですね」
「他の人に説教するなら」
「それよりもですか」
「自分を見ることだよ」
 そうすることが大事だというのだ。
「もう本当にね」
「自分を見ることですか」
「その欠点を見て」
 そしてというのだ。
「あらためることだよ」
「自分の行いを」
「それが成長する糧になるから」
「だからですか」
「努力して」
 そしてというのだ。 
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