八条学園騒動記
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第六百二十八話 冷気と風その八
「普通に馬に乗ってたから」
「それ大きいわね」
「だからね」
それでもというのだ。
「スパルタが戦闘民族といっても」
「男性だけね」
「女性も一緒に馬に乗ってるのじゃね」
「そこからして違うわね」
「もうそこで違うから」
だからだというのだ。
「戦ってもね」
「強さが違うのね」
「馬に乗ったらそれこそ完勝で」
「馬に乗ってなくても」
「勝てたわ」
「その自信があるのね」
「だから海やジャングルでもないと」
馬が使えない地域以外ではというのだ。
「無敵だったのよ」
「モンゴル人こそ最強の戦闘民族だったのね」
「国民皆兵のね」
「そう聞くと凄いわね」
「けれど今じゃね」
ナンは笑顔で話した。
「自然といつも一緒にいる素朴で優しい人達よ」
「そうなったの」
「羊を食べても」
そうしてもというのだ。
「血の一滴も無駄にしないでその命を頂くことを忘れない」
「そうした人達なの」
「そうなったから」
だからだというのだ。
「安心してね」
「今じゃそうなのね」
「戦うこともないし」
それもないというのだ。
「狼と言われてきても」
「ああ、狼って優しいからね」
コゼットはチーズを食べつつあっさりと答えた。
「実はね」
「そうでしょ」
「これがね」
まさにというのだ。
「犬にもなってるし」
「人は殆ど襲わないでしょ」
「そうそう、相当お腹が減っていないと」
そうでもないと、というのだ。
「だから家畜になって」
「犬にもなって」
「連合じゃ牧場からは遠ざけられるけれど」
家畜を襲うからである。
「農園じゃね」
「好かれてるのよね」
「だって畑荒らす鹿とか食べてくれるから」
「有り難い生きものよね」
「そう考えられているから」
コゼットはナンに話した、連合では農業が非常に盛んであるので畑を荒らす生きものを食べてくれる狼は有り難い存在であるのだ。
「だからね」
「狼は有り難いわね」
「猛獣というよりも」
「益獣よね、それがモンゴルだとね」
「神様よね」
「そう、ご先祖様よ」
蒼き狼だというのだ。
「偉大なね」
「それでその狼は」
「本来の優しさが出たね」
「素朴な人達なのね」
「そこに鹿の血も入ってるから」
ナンは今度はこの生きものの名前も出した。
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