ラブレターを奪われて
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第四章
理恵の腕の中で彼女に甘えた、理恵はその彼に笑顔を向けつつ徹に言った。
「最近結構外出していたけれど」
「俺のところに来てました」
「そうだったのね」
「はい、いつも」
「そうだったのね」
「おやつあげていました」
「有り難うね、多分猫治郎も」
彼もというのだ。
「沖君が私へのラブレター書いているのを見ていて」
「それで、ですか」
「ええ、それでね」
そのうえでというのだ。
「書き終わったのを見てね」
「先輩に送ってくれたんですね」
「そうだったと思うわ」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
「猫治郎が恋の橋渡し役になってくれたのよ」
「手紙取られた時は何でと思いましたが」
「この子はわかってくれてたのよ、沖君の気持ちも」
理恵への想いもというのだ。
「それでね」
「先輩の気持ちもですね」
「そうだったのよ」
「そうですか」
「恋愛小説はよく読んできたけれど」
このこともだ、理恵は言った。
「こうしたことが実際にあるなんてね」
「世の中わからないですね」
「そうね」
この時も笑顔で言う理恵だった、そしてだった。
この時から二人の交際がはじまった、二人は学校でもいつも一緒にいる様になった。そして学校を出てもだ。
徹はまた自宅に来た友人に今も自分の部屋にいる猫治郎におやつをあげつつ話した。
「学校から出ても家が近所同士だし」
「一緒にいるんだな」
「そうなんだよ、それでな」
「その猫とか」
「一緒に遊んでるんだ」
「それはいいな」
「こいつが橋渡しをしてくれたからな」
それでとだ、徹は友人に話した。
「だからな」
「二人でか」
「こいつと遊んでるんだ」
「成程な、俺も彼女いるけれどな」
友人も言ってきた。
「犬でそうなってるな」
「お前もか」
「俺達は自然に付き合う様になったけれどな」
「お前家に犬飼ってるしな」
「シェパードのマナちゃんな」
「あの娘とか」
「よく二人で遊んでるんだよ」
そうしているというのだ。
「俺達はそうでな」
「そして俺達は猫か」
「そうなってるな、じゃあこれからもこいつとか」
「二人で一緒にいるな」
「そうしろよ、こいつのお陰で一緒になれたんだしな」
友人は徹におやつを美味しそうに食べている猫治郎を見つつ話した、猫治郎はその徹を見て喉も馴らしていた。徹はその彼を見つつ友人の言葉に笑顔で頷いたのだった。
ラブレターを奪われて 完
2021・8・28
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