イベリス
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第十八話 ゴールデンウィークを前にしてその十二
「それもいきなりな」
「あるの」
「歌でもあるしな」
「歌?」
「ラブストーリーは突然にってな」
「ああ、カラオケでもあるわね」
咲はその曲名を聞いてすぐにどの曲かわかった、自分は歌ったことがないがそれでも誰が歌っていたのかも知っていて父に応えた。
「小田和正さんの曲ね」
「名曲だぞ、父さんもま陀小学生か中学生だった」
「今の私よりまだ年下ね」
「その頃の曲でな」
「凄いヒットしたのよね」
「その曲でも言っている」
そうだというのだ。
「タイトルのままだがな」
「そうしたことは突然になの」
「なるからな」
「そんなものなの」
「何時誰を好きになるかなんて誰にもわからないんだ」
「自分自身にも?」
「ああ、そうだ」
その通りというのだ。
「本当にな」
「何時誰を好きになるか」
「そうだ、だがいい人を好きになれ」
父はこのことは釘を刺した。
「いいな」
「悪い人は好きになるなっていうのね」
「一目惚れもあるがまずはその人をよく見るんだ」
人に本気で恋愛感情を抱く前にというのだ。
「外見だけじゃなくて性格を見てな」
「そうして好きになるべきね」
「そうだ、性格や行動に問題がある様ならな」
「好きになったら駄目ね」
「外見だけで判断するな」
絶対にというのだ。
「いいな」
「まずは性格ね」
「外見なんてどうでもなるんだ、不細工という顔でもな」
そう言われる様な顔でもというのだ。
「確かに生きていると人相がよくなってな」
「いいお顔になるのね」
「そして逆もあるんだ」
「それ皆から言われてるわ」
現在進行形でとだ、咲は父に答えた。
「人相をよく見るべきだってね」
「その通りだ、人の顔なんてどうでもなるんだ」
「整形でもよね」
「それ以上に生き方でな」
まさにこれでというのだ。
「変わるからな」
「だからなのね」
「そんなものよりもな」
「性格ね」
「それを見て好きになるんだ」
恋愛感情を抱けというのだ。
「いいな、そうするんだ」
「性格がいい人を好きになるべきね」
「そのことは絶対だ」
「外見はどうでもよくて」
「性格だ、よく見て好きになるんだぞ」
「そのことしっかりと覚えておくわ」
咲は父のその言葉に頷いた、両親と愛のこともあるが自分のそのことも気になった。そうして一生覚えておこうと自分自身に誓ったのだった。
第十八話 完
2021・6・8
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