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レーヴァティン

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第二百十七話 船の中でその一

                第二百十七話  船の中で
 久志は今は仲間達と共に船内にいた、そこで昼食を食べていたがこの時に彼はパンを食べつつ言った。
「パンにザワークラフトにソーセージ、チーズか」
「あとオレンジもあるわよ」
 留奈はそちらもと言った。
「それとライム汁を入れたラム酒もね」
「そちらもだよな」
「楽しみましょう」
「そうするか、しかしこのメニューってあれだな」
 久志はこうも言った。
「遠くに出る時のな」
「メニューね」
「ライム汁入れたラム酒とザワークラフトなんてな」
「遠洋に出て」
 そうしてというのだ。
「ビタミンを補給するものよ」
「そうだよな」
「カレーから向こう岸まですぐだけれど」
「それでもこのメニューになったんだな」
「船の中だから」 
 遠洋ではないがというのだ。
「それでね」
「そうなったな、しかしな」
「しかし?」
「いや、こうしたもの食ってないとな」
 さもないととだ、久志は言った。
「よくないな」
「身体にっていうのね」
「そうだよな、そういえば遠洋の時のパンは」  
 ここで久志はこうも言った。
「固かったんだよな」
「もう岩みたいにだったらしいわね」
「そうみたいだな」
「それで中に蛆が湧いて」
 それでというのだ。
「そのこともね」
「問題だったな」
「塩漬けのお肉は塩辛くて」
「それもかなりな」
「お魚もそうでこっちも蛆が湧いて」
 パンの様にというのだ。
「大変だったらしいわよ」
「蛆なんか食えるかっていうと」
「食べられるけれどね」
「正直食いたくないな」
 久志は本音を述べた。
「とてもな」
「お水も腐るし」
「それで酒ばっかり飲んでな」
「身体壊す人も多かったのよ」
「大航海時代はそうだったな」
「しかもザワークラフトとか柑橘類ないと」
「壊血病もあったな」
 こちらの問題もというのだ。
「それで船乗りの寿命は短かったな」
「そうだったみたいね」
「碌なもの食ってないとな」
「あと津波とか嵐で船が転覆したり食べるもの自体がなくなったり」
「疫病もあるしな」
「かなりの人が死んだのよ」
「大航海時代とかな」
 久志はこの時代の船乗りのことを思い出した。
「そうだったな」
「マゼランの航海もそうだったな」
 正はそのラム酒、ライム汁を搾って入れたものを飲んでいる。酒の味に加えてライム汁の酸っぱさも楽しめている。
「二百人以上が参加してだ」
「生きて帰ったのは三十人以下だったな」
「五隻の船は二隻まで減りな」
「マゼラン自身も死んでるしな」
 途中フィリピンで現地人との戦闘でのことだ。
「そうなってるしな」
「あの頃の航海はそうだった」
「食うのも大変だったな」
「そうだった、だからこうして食えるだけでな」
「いいよな」
「そうだ」 
 実際にというのだ。 
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