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見えなくても幸せに

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第二章

「あそこまで落ち着いてくれて」
「まだ発作があって時々怯えるけれど」
「それでもな」
「ええ、かなり落ち着いてきたわね」
「今度な」
 ここで夫はこう言った。
「アウター=ヘブリディーズ諸島に行くか」
「あそこに?」
「一家で行ってな」
「アンガスもなのね」
「連れて行ってな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「アンガスを伸び伸びとさせるのね」
「そうしてやろう、中々のどかな場所で走り回れないだろ」
 目が見えないアンガスはというのだ。
「だからな」
「あそこに連れて行って」
「自由に走らせてやろう」
「それじゃあね」
 妻も頷いた、そしてだった。
 一家でそこに行った、そうして。
 アンガスをアーチャーと共に走らせた、二匹特にアンガスは砂浜を自由に駆けた。それも楽しそうに。
「ワンワン」
「キャンキャン」
 二匹はとても幸せそうだ、そして。
 海の傍を駆けているとだった。
 そこにゴールデンレッドリバーが来た、その犬は。
「この子もな」
「ええ、アンガス達と同じね」 
 夫婦はその犬を見て言った。
「目が見えないわね」
「眼球がないな」
「ワン」
 見れば目が閉じられている。
「それじゃあな」
「同じね」
「この子はスマイリーといいます」
 ここで黒髪で優しい黒い目の女性が来た、隣には赤髪で青い目の男性とその横には男性そっくりの男の子がいる。
「雄で私の家族です」
「そうなのですか」
「ジョアンナ=スミスといいます」
「ジョージ=スミスです」
「シェパードです」
 男性と男の子も話した。
「今はここに旅行で来てるんです」
「ポーツマスから来ました
「チェスターフィールドから来ました」
 夫が一家に答えた。
「ダービーシャー州の」
「そちらからですか」
「はい、それでこの子は」
 夫はジョアンナに尋ねた、彼を見ながら。
「どういった縁で貴方達の家族に」
「元々悪質な繁殖業者から保護したんですが」
 ジョアンナはすぐに答えた。
「生まれつきです」
「そうなのですか」
「はい、ですあがセラピー犬として」 
 スマイリーの背中を撫でつつ話した、彼は大人しく撫でられて尻尾を振っている。
「今は凄く頑張っています」
「それは何よりですね」
「そちらの子達ですが」
 ジョアンナはアンガスとアーチャーを見て話した、自然とスマイリーのところに来て尻尾を振っている彼等を。
「やはり」
「はい、うちの子達もです」
 夫は彼女に素直に答えた。 
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