レーヴァティン
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第二百十五話 渡河その十一
「貴族の人達の間で」
「それは複雑だな」
「そしてな」
それでというのだ。
「その話を日記で書いたりもな」
「ああ、そうした話あったな」
「新選組でもあったしな」
幕末でもというのだ。
「薩摩藩は有名やし」
「日本は多いな」
「特にな、その日本人として思うことは」
どうにもとだ、美奈代は言った。
「それでこの浮島でも禁じられてへんし」
「あっていいな」
「そこを無理して禁じるとな」
「かえって駄目だな」
「そうなるで」
こう言うのだった。
「そやからな」
「軍でもな」
「あるし」
「男娼の人もいてか」
「女性同士もあるんや」
「そういうことだな」
「そっちも認めて」
同性愛もというのだ。
「性欲のことはな」
「解消していくことか」
「東の浮島の将軍さん程やなくても」
英雄のことも話した。
「それでもな」
「あいつはまた凄いらしいな」
「毎晩何人もやろ」
「あの仏頂面でな」
英雄の無表情で感情が見られない口調のことも話した。
「らしいな、ここでもな」
「この浮島におった時もか」
「毎晩、街や村に入ったらな」
野宿の時は流石になかったがというのだ。
「その足でな」
「そうしたお店行ってたか」
「そうだったからな」
「相当好きやねんな」
「ああ、ただな」
それでもとだ、久志は美奈代に話した。
「にこりともしないでな」
「その仏頂面でやな」
「行くんだよ」
そうした店にというのだ。
「それで何人もな」
「相手してたか」
「普通そうした店行く時って鼻の下伸ばすだろ」
「女の子でもな」
美奈代は女にも性欲があることから答えた。
「それはな」
「表情に出てるだろ、最低でもな」
「物腰にやな」
「出るものだよ、けれどあいつはな」
英雄はというのだ。
「本当にな」
「無表情でか」
「行ってな、まるで街に入る時みたいに歩いていって」
そうしてというのだ。
「出て来た時もな」
「平然とか」
「何処に行くんだって聞いたら一言娼館だ、で」
英雄のその時を思い出しながら話した、彼にとってはこの世界においてはもうかなり懐かしい思い出である。
「それで帰ってどうだったって聞いてもな」
「よかった位やな」
「そうだよ」
その通りだというのだ。
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