レーヴァティン
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第二百十五話 渡河その十
「当然ね」
「性欲はあるか」
「その対象は色々でも」
「同性愛だってあるな」
「けれどね」
「性欲はあるか」
「だから種として続くんだよ」
生物のそれがというのだ。
「そうなるんだよ」
「それはな」
「君もわかってるよね」
「性欲が全然ないとな」
それこそとだ、久志も答えた。
「もうな」
「種が続かないね」
「ああ、子供が出来ないからな」
「だから僕達もだよ」
「性欲はあってか」
「時としてそれをどう解消していくか」
「それが問題でな」
為政者の顔になって述べた、帝国の皇帝そして軍を率いて統制を維持する立場の者の顔になってである。
「それでな」
「娼婦の人も必要だよ」
「そうだよな」
「ただこの浮島は同性愛はいいから」
認められているというのだ。
「だからね」
「男娼の人もいてな」
「女性の人もね」
ごく普通に言われる娼婦達もというのだ。
「女性を相手に出来る人もいるよ」
「そうなっているな」
「というか同性愛はタブーってな」
美奈代は首を傾げさせて言った。
「何でやってな」
「趣味はなくても思うな」
「そこはまさにや」
「人それぞれの好みだな」
「こっちの世界にもキリスト教はあるけど」
「別に否定していないな」
「推奨はしてへんけど」
それでもなのだ、この世界でのキリスト教では。
「趣味としてな」
「黙認してるな」
「構わんってな」
「そうなってるな」
「これを絶対の悪徳として」
自分達が起きた世界のかつてのキリスト教のことを話した。
「禁じる方がな」
「おかしいな」
「うちはそう思うわ」
「俺もだよ、そっちの趣味はなくてもな」
久志も言った。
「別にな」
「禁じることはないな」
「だから帝国の法でもな」
今話している軍律の上にあるそれでもというのだ。
「禁じてないんだよ」
「そやな」
「同性婚は認めてないにしても」
それでもというのだ。
「別にな」
「ええな」
「古代ギリシアでも普通だったしな」
こちらではむしろこちらの方が奨励されていた程だ、神話を読んでいてもその場面は結構見られる。
「ネイティブアメリカンでもだったな」
「それで中国でもあって」
「何処も禁じられていなかったな」
「特に日本では」
自分達の国ではというのだ。
「そやったな」
「戦国時代も平安時代もな」
「恋愛のもつれが政争になったとかもあったらしいで」
平安時代はというのだ。
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