イベリス
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第十七話 裏側のことその三
「そんなことして捨てるなら」
「お父さんもそう思うけれどな」
「世の中そんな人もいるのね」
「ああ、それでこんな手合いは次の子供が産まれたらな」
「最初の子供は無視するのね」
「そうするんだ、出来のいい子の方を可愛がったりしてな」
「子供も贔屓するのね」
咲は余計に嫌そうな顔になった。
「それはね」
「酷いことだな」
「ええ、子供は公平にでしょ」
「育てないと駄目だな」
「邪険にされる子が可哀想よ」
「そう思うから咲はいいんだ」
父はここでは微笑んで述べた。
「そのままでいてくれ、けれどそうじゃない人もいてな」
「子供が何人かいたら贔屓する子がいたり」
「生きものもな」
「捨てるのね」
「そうした人もいるんだ」
「最初から飼ったら駄目な人達も」
「そうだ、それでお店やブリーダーの人でもな」
そうしたところでもというのだ。
「碌でもない人がいるんだ」
「ヤクザ屋さんとか命を何とも思っていない人が」
「そうだ」
まさにというのだ。
「いるんだ、それでな」
「そうした人達がいて酷いことをしている」
「そのこともな」
「覚えておかないといけないのね」
「そうしてくれ」
娘のその顔を見て言った。
「いいな」
「わかったわ」
咲も強い声で頷いた。
「私絶対に忘れないわ」
「モコも大事にするな」
「当り前よ」
当然、そうした返事だった。
「モコは家族でしょ」
「そうだな」
「だったらね」
それならというのだ。
「何があってもよ」
「それでいいんだ」
まさにとだ、父は咲に言った。
「だからな」
「ええ、これからもね」
「モコを大事にして他の子もな」
「大事にすることね」
「そしてペット業界のこうした話もな」
「覚えておくことね」
「そうしてくれたらお父さんも嬉しい」
こうも言うのだった。
「忘れないでくれ」
「絶対にね」
「そうしてくれ」
「お母さんもそう言うわ」
母がまた行ってきた。
「命のことだから」
「覚えておくことね」
「そうしておいてね」
「そうしていくわね」
「そしてね」
それでというのだ。
「若しそうしたところに就職するなら」
「それなら」
「そうよ、そうしたお店やブリーダーの人にはね」
「入らないしならない」
「そうしてね」
絶対にという言葉だった。
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