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八条学園騒動記

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第六百二十五話 信長とお茶その五

「宮殿には見えないね」
「とてもね」
「ケベック王家の別荘よりもね」
「質素よね」
 連合のこの国の王家のそれよりもというのだ。
「あの国は大国で」
「連合の十番目だよ」
 菅はケベックのその国力、総生産のそれを話した。
「おおよそ」
「大きい国ね」
「しかもね」
 さらにというのだ。
「王家はブルボン家だよ」
「スペインから入ったのよね」
「うん、スペインは今もだけれど」
「王家は元々ブルボン家ね」
「スペイン継承戦争からね」
 この戦争からというのだ。
「そうだよ」
「千年以上続いているわね」
「元々はハプスブルク家だったけれど」 
 これはカール五世スペイン王としてはカルロス一世神聖ローマ帝国皇帝であった彼からのことである。
「断絶して」
「ブルボン家がなって」
「そしてね」
「今もよね」
「ケベックはフランス系の人が多くて」
「王家もフランス系ってなって」
「それで招かれたんだ」
 ブルボン家の人がというのだ。
「それでブルボン家だから」
「名門よね」
「ハプスブルク家やウィンザー家クラスのね」
「それで名門だから」
「宮殿も立派で」
 格式を大事にしてのことだ。
「しかもケベックは大国だから」
「そのこともあって」
「もう宮殿は市民の人達も意識して」
 ケベック人の彼等がというのだ。
「ベルサイユ宮殿以上の」
「立派な宮殿ね」
「今はそんなの建てても何もないから」
 菅は素っ気なく言った。
「壮麗な宮殿を建てても」
「昔だと途方もない贅沢で」
「それだけで国が傾いたけれど」
「今はね」
「豊かさが違うから」
 人類社会のそれがというのだ。
「技術もあるから」
「重機もあるし」
「だからもうね」
 昔の様に国が傾くまでの予算と人手を使わずというのだ。
「簡単に建てられるから」
「あの国は壮麗な宮殿を建てて」
「別荘もね」
「凄いのよね」
「けれど日本の皇室は」
 菅は話を戻した。
「そこをあえてね」
「質素にされているのね」
「そうなんだ」
「それが凄いわね」
「日本はケベックよりずっと国力があって」
 そしてというのだ。
「皇室はブルボン家よりもね」
「ずっと古くて」
「歴史と伝統があるけれど」
「しかも皇帝だからね、天皇陛下って」
 七海はこのことを指摘した。 
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