| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六百二十三話 茶道の部室へその八

「それで踏めなくてもね」
「棄教すればね」 
 菅は確かな声で言った。
「それでだったよ」
「よかったわね」
「うん、処刑されないで済んだよ」
「本当に欧州より遥かにましね」
「そうだったよ」
「遥かに文明的だったわね」
「当時の日本はね」
 キリスト教を禁教にしたことは事実だが、というのだ。
「処刑の仕方は酷かったにしても」
「けれど当時のエウロパよりましでしょ」
「エウロパ人の残虐さは生来でね」
 このことも連合で広く言われていることだ。
「拷問からしてね」
「無茶苦茶でね」
「それで火炙りだから」
「生きたままね」
「ただ宗教や宗派が違うだけでね」
「魔女狩りでだし」
 冤罪でも決め付けてというのだ。
「そう考えたら」
「エウロパの残虐さは折り紙付きで」
「連合の処刑は残酷とか言うけれど」
「死刑自体よくないとかね」
「連合の残酷な処刑はね」
 これがあることは事実でもというのだ。
「あくまで凶悪犯に対してだけで」
「そんな異端とかでね」
「絶対にしないよ」
「カルト教団は取り締まってるけれど」
「詐欺とかしてるから」
 宗教を看板にしてだ、こうした輩はこの時代にも存在しているのだ。このことは連合でもエウロパでも同じだ。
「悪徳商法とかね」
「霊感がどうとかで」
「それでそうした団体は捜査もされるけれど」
「異端とか決め付けて」
 そしてというのだ。
「惨たらしい拷問から処刑はね」
「ないわよね」
「連合より遥かに野蛮で残虐だよ」
 エウロパはというのだ。
「本当に」
「そうだよね」
「どう考えてもね」  
 スターリングも蝉玉も行った。
「連合異端審問しないわよ」
「宗教も寛容だからね」
「むしろどの宗教も仲良く」
「それが連合だからね」
「そう、それで当時のエウロパのキリスト教はそうだったから」
 菅はここでまた言った。
「それでね」
「禁止されただけだね」
「国を乱して乗っ取るから」
「共産主義と同じだよ」 
 菅はこうも言った。
「当時のキリスト教は」
「あっ、似てるかも」
「そうね」
 スターリングと蝉玉は菅の今の指摘にはっとなった。
「当時のキリスト教と共産主義って」
「そうかも知れないね」
「奇麗ごとで釣って」
「それで手勢にしてね」
「自分達しかない」
「命を何とも思わない」
「そうだよね、何かね」
 菅は無表情のまま話していった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧