ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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4:硫黄の臭いでも、汗臭さでも、隠せないのは美女の匂い。
(溶岩地帯)
リュカSIDE
旅の扉青を通れば、そこは溶岩と硫黄の臭いが立ちこめる世界。
こんな所に美女が居るのか些か不安ではあるが、調べてみない事には判別できない。
取り敢えず旅の扉青の近くを彷徨いてみる。
マドハンドやストーンマンといった敵がウザッたく攻撃を仕掛けてくるが、それを難無く撃退して探索を続ける。
暫くすると足下に切り株を多数発見。
そう言えば、この地方(マイラ地方)には木が見当たらない。
この切り株を持ち帰って拠点に植えれば、偉大なるルビス様パワーで成長すると思う。
偉大なるルビス様の唯一の長所だからね。
この辺の切り株を、それこそ根こそぎ採取してると、付近の岩壁にキラリ光る物を見つける。
近付いて確認すると、なんと鉄ではないですか!
切り株も採取し終わったし、今度は鉄を掘りまくるぜ!
鉄を掘りまくって岩壁を穴だらけにしてると、突如溶岩地帯の方から突風が吹き、硫黄の臭いを運んできた。
しかしその硫黄臭さの中から、微かに人の汗臭さが混じっていた。
しかもその汗臭さは間違いなく美女のモノ……だって美女の匂いが混じってたもん!
俺は鉄採取を止め、急いで美女の匂いがする方へダッシュした。
途中に広がる溶岩地帯には、鉄採取で大量に仕入れた土ブロックを敷いて足場にし、心許ないながらも橋を架けて渡る。
溶岩地帯を抜けた岩山の谷間地帯には、如何やらモンスターのアジトらしく、魔道士や鎧の騎士が大量に屯っている。
だが、美女の匂いを嗅ぎ付けた俺の敵では無い!
ドラゴンの杖で敵を一発で吹き飛ばす。
以前の様にルーラが使えなくなってしまったので、一瞬で敵との距離を詰める事が出来なくなったが、それでも若返った俺のフットワークの前に、敵は対応出来やしない。
そんな感じで暫く進むと、脇道に頑丈そうな牢屋らしき建物が……
美女の匂いはそこからするし、間違いなくその牢屋に囚われているのだろう。
しかし一つ気になる事が……
牢屋の前に一人の男が立っている。
顔色からして所謂幽霊だと思われるのだが、俺と目が合ってニッコリと笑った。
俺ほどでは無いけど、まあまあのイケメン。でも俺にそっちの気は無いから誘われても困る。
色々嫌なので、奴を凝視しながら避けて通ろうとしたら……
「……おや? 君は僕の姿が見えるのかい?」
と話しかけられた。
「見えないから話しかけるな」
「見えてるじゃないか。僕の質問に答えてるんだから」
関わり合いたくないのに、会話が進んでいく。
「まぁいい……それで、こんな所に何をしに? ひょとすると、牢に捉えられてる女を助けに来たのかい?」
「そりゃ美女を助けるのはイケメンの役割だからね」
「……それは止めておくんだね。あんな女を助けると、碌な事にはならない」
「それはない。真のイケメンは美女の一人や二人……いや何百人でも、制御できるのが生まれ持った技量だからね。お前には解らんだろう」
「そんな事を言ってられるのも今のうちさ……何故なら、あの女が人殺しだからさ。悪い事は言わない、このまま引き返すんだ」
「うるせーな。お前はさっさと成仏しろ。美女に殺されたんだから、殺された側に問題があったんだ!」
「やれやれ……如何なっても知らないよ」
そう言うと幽霊野郎は消えてった。
二度と現れるな!
幽霊野郎との不毛な会話を終わらせて、俺は牢屋の手前に近寄った。
中は薄暗くてよく見えないけど、両腕を鎖に繋がれて壁からもたれてる人影が一つ。
よく見えないが判る……間違いなく美女だ!
「……だ、誰だい?」
俺の存在に気付いたのか、誰が居るのか尋ねてくる。
「今助ける。待ってて!」
そう言い終わると同時に、俺はドラゴンの杖を振りかぶり、牢屋の格子を叩き壊した。
爆音にも似たもの凄い音と共に、俺と美女を隔てる格子は消え去った。
「と、とんでもない破壊力をしてるね……アンタ」
俺のイケメンなパワーとドラゴンの杖の丈夫さに、驚いてる美女に軽く微笑みを向けて、彼女の腕に繋がってる鎖を断ち切る。
「あ、ありがとう……情けない姿を見せちまったね」
俺は笑顔のまま衰弱してる美女を抱き上げたのだが、一つ残念なお知らせが発生した。
彼女……かなりパンクな服装をしてるのだが、そんな服の上からでも判るほど、小さかった。
いや……切れ目の美女で、ウエストも細くスタイルは良いのだけれども……小さいんだ。
だが背に腹は代えられない。
俺はあの女をガチで泣かす為に、立ち止まる訳にはいかないのだ!
そんな決意を胸に、美女の瞳を見つめてると、彼女は顔を赤くして視線を逸らした……うん、イケる!
「あ、あの……自分で歩けるから、降ろしてくれよ」
「無理はしちゃダメだよ……僕はリュカ。ルビスに言われ、このアレフガルドを復興してるビルダーだ。今は君のアジトでもあったマイラを復興させている」
「ア、アタシはアメルダ。アンタがビルダーかい……噂は聞いてるよ。人々に物作りの力を取り戻させてるって」
「僕は自分に出来る事をしているだけさ」
この美女が筋肉ダルマ連中が言う“アネゴ”なのかは判らなかったが、マイラがアジトの件を言っても否定をしないから、同一人物と認定しよう。
あとは拠点に戻れば筋肉ダルマ連中が確認するだろう。
アメルダを降ろし屋根の無い所まで出て、キメラの翼を使おうとしたら、目の前に巨大なモンスターのトロルや魔道士連中が集まっていた。
牢屋を壊した破壊音を聞きつけたのかな?
相手してやる義理は無いので、サッサとキメラの翼で帰ろうとしたら……
「アイツだ! あのトロルに大事な発明の設計図を奪われたんだ! リュ、リュカ……取り返しておくれよ」
と、美女からの要望あり。
仕方が無いのでアメルダを少し下がらせトロル共の相手をすることに……
ドラゴンをアッパーカット一発で倒すイケメンには全く問題ない相手。
そう思って薙ぎ払ってたんだけど……
何だか調子が万全じゃない。
ここまで寝ずに戦闘漬けだった所為なのか、一度踏み込んだ時に力が入りきらずバランスを崩しかけた。
直ぐに立て直したが、こんな事は初めてだ。
美女の前だからって、力を入れずぎたのかな?
リュカSIDE END
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