イベリス
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第十三話 学業もその十四
「それでもね」
「ああした政治家さんみたいだと」
「どうしようもないから」
「お勉強が出来ても」
「ああだとね」
その女性議員の様ならというのだ。
「どうにもならないわ」
「よくあれで政治家になれたわね」
咲はその女性議員の発言や行動を自分の中に思い出しながら首をひねった、そのどれもが碌でもないものばかりだった。
「どうしてかしら」
「ああ、そのことね」
母も応えた。
「不思議だっていうのね」
「学校のお勉強が出来たら」
それならというのだ。
「東大も弁護士資格もね」
「司法試験通ってね」
「合格出来て通るけれど」
それでもというのだ。
「政治家になるには」
「選挙で当選しないとなれないわよ」
「そうなのに」
「だって選挙は人が投票するのよ」
「いや、だからね」
それでとだ、咲は母に言った。
「あんな人に投票する人が」
「だからあの人の選挙区の人が」
「そういうこと?」
咲は察して応えた。
「つまりは」
「そう、東京にもいるでしょ」
「あの駝鳥に無理矢理歯をくっつけたみたいな顔の人ね」
「あの白い服のね」
「あの人もそうよね」
「いい大学出てるでしょ」
「青山よね」
青山大学をというのだ。
「そうよね」
「大阪でも名古屋でもでしょ」
「いるわね、ああした人」
「仙台でもね」
「結構いるわね」
「どの人も何で通るかは」
それはというと。
「投票する人がね」
「そういうことなの」
「投票する人があれなら」
あえてこう言ってぼかす母だった、だが咲にはそれでもよくわかった。
「それならよ」
「選挙に当選してなのね」
「政治家になれるのよ」
「そうなのね」
「ああした人を政治家にしたくないならね」
「投票しないことね」
「それが第一よ」
こう娘に言った。
「男の人でもああした人いるけれどね」
「東大工学部出身の元総理大臣の人とか」
「東京にも元総理の人いるでしょ」
「あの最低な人ね」
咲は目を顰めさせて応えた。
「もう何もかもが」
「ああした自分のことしか考えない人もね」
「政治家にしない為には」
「そう、もうね」
それこそというのだ。
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