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イベリス

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第十三話 学業もその九

「愛ちゃんそうだったの」
「カレーもシーフードでお寿司も海鮮丼もよ」
「好きなの」
「中華料理でもフランス料理でも好きで」 
 それでというのだ。
「パエリアだってだしスパゲティでもね」
「シーフード系なの」
「それでイカ墨も好きよ」
 こちらのスパゲティもというのだ。
「もう何でもね」
「徹底してるわね」
「それで和食でシーフードなら」
「ワインは白なの」
「もう目がないから」   
 愛、彼女はというのだ。
「気をつけてね」
「それじゃあね」
「あとお酒は絶対に勉強が終わってから」
 母はこのことは強く言った。
「飲んだ後で頭に入らないでしょ」
「そうよね、まともに考えられなくなるし」
 咲もそれはと頷いた。
「もうね」
「飲むならね」
「お勉強も終わって」
「全部終わってよ」
「後は寝るだけね」
「その時になって」
 そしてというのだ。
「飲むものよ」
「そうよね」
「そこは守ってね」
「わかったわ、お勉強もして」
 咲はミンチカツを食べながら母に応えた。
「それが終わってね」
「飲んでね」
「飲む時は」
「そうしてね、北条氏康さんは朝飲むといいって言ってたけれど」
 このことは歴史にある、この戦国大名は実際にそう家臣達に言ったのだ。その方が粗相はしないとだ。
「今はね」
「それは出来ないわよね」
「朝から飲んだら」
 それこそというのだ。
「朝酒でしょ」
「朝寝朝風呂ね」
「お家潰すわよ」
「よく言われるわね」
「これは遊び人よ」
 その生活だというのだ。
「それか昔の漫画家さんよ」
「昔の?」
「昔の漫画家さんは徹夜で描いてね」 
 その描くものが漫画であることは言うまでもない。
「それで朝ね」
「飲んでたの」
「そこでまた描いてたの」
「あの、それって」
 徹夜で仕事して朝から飲んでまた仕事に入る、咲はその生活を聞いて言った。
「死なない?」
「無茶苦茶でしょ」
「徹夜で漫画描いて休まないで飲んでそれでまた描いたの」
「そうしていたのよ」
「本当に死ぬでしょ」
「だからお亡くなりになったのよ」
 母もこう答えた。
「お母さんが産まれる前の人だけれど」
「そんな人いたのね」
「そう、こんなことは絶対に駄目よ」
「流石にそんなことしないわよ」
 咲はかなり引いた顔になって答えた。
「私徹夜自体しないから」
「夜遅くなっても寝るわね」
「ええ、絶対にね」
「そうよ、少しは寝ないとね」
「駄目よね」
「それで朝飲むのもね」
 このこともというのだ。 
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