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異生神妖魔学園

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探求心は止まらない

ユウジ11「あーい、授業やるぞー」


宇佐間を助けたせいで授業時間が少し削れてしまったユウジ11は気だるそうに言った。
いや、面倒くさがり屋なのは以前からのことだ。


冷火(前からだけど先生がやる気ゼロってどういうことだよ!)

龍哉「チャイム鳴っても全然来なかったから仮病使ったのかなって思いました」

ユウジ11「いくらめんどくさそうな俺でもそんなことしねぇっつーの。働かなきゃ生きてけねぇっつーの。ラーメンも食えねぇっつーの。さっき宇佐間の変態野郎が体育館の天井に刺さっててな」

紺子「宇佐間先生何があったの!?」

ユウジ11「1年の黒神無亞って奴の触手でボコボコにされたらしい。ズボン破ったらこうなったって言ってたな」

紺子「あの先生もうやらないって言ってたのにまたやったのか………」


呆れ顔の紺子に龍華はジーンズを破った宇佐間を想像してみる。


ユウジ11「ていうか、毎年クトゥルフにまつわる奴が入学してんのか?だいたい50年ぶりに起動して働き始めたからわかんねぇけど」

ディーゴ「人外しかいないから当たり前っすよ」

龍華「誰があの先生のパンツ望むかってんだよ。もういっそのこと俺のコーヒー飲ませようかな?」

冷火(だからそれであのド変態野郎の制裁になるのかってんだよ!)

龍華「それかマスターのダークマターを…」

ユウジ11「食わせるなよ?いくらあいつが変態でもかわいそすぎるぞ。よーし、やるのめんどくせーけど教科書開け。ヨーロッパのページな」





授業が進む中、これらはテストによく出る重要なものだとユウジ11は断言した。
今日やった内容はヨーロッパ州の国々の名称や時差はもちろん、自然や農業、民族など様々なものだった。


ユウジ11「気候は必ずテストに出るからなー。西岸海洋性気候と地中海気候だが、特に前者は名前を書くだけじゃねぇ。記述も出すからちゃんと覚えとけよー」

龍華「数字マジ嫌い………進むか戻るかすらもさっぱりだぜ」

獄宴「農業3つ?名前は覚えられそうだけどどこでやってるとかは全然わかんないよ……」

ユウジ11「おいそこのケルベロス。わかんないからってぬいぐるみと教え合うのは完全にアウトだかんなー。テストの日は終わるまでどっちも預からせてもらうぞー」

獄宴「う…」

炎宴「仕方ないでしょ。決まりなの」

死宴「寂しいのはわかるけど終わるまで我慢してちょうだい♡」


まさにその通りだった。獄宴は常に両肩に犬のぬいぐるみ、炎宴と死宴を乗せているケルベロスの少年。去年の中間テスト、期末テスト、学年末テストもそうだった。朝のHRが終わるや否やすぐに炎宴と死宴を没収されていたのだ。
だが以前の小テストは?没収しないが、周りに聞こえないように教え合いなさいと言われていた。


ユウジ11「まあ俺がカンニングしてる奴見つけたら間違いなく殺っちゃってるけどな」

龍哉「それ猫いじめてる奴殺そうと考えた綾野先輩と同じじゃないですか!?ユウジ先生も冗談に聞こえないこと言わないでくださいよ!」

ユウジ11「あいつそんなこと考えてたの?藤井がキレて玉藻前になったってのも全猫から聞いてるな」

紺子「別人と話してる感じで怖かったけど私が止めたおかげで元通りになったよ」

ユウジ11「俺が知らない間何があった…で、学園長は全猫の耳と尻尾いじった報いでライオンに襲われてると」

紺子「え゛!?学園長ライオンに襲われてるの!?」

龍哉「地下から聞こえてきた悲鳴学園長のだなってわかってたけどライオン!?そんなの秘術室にいなかったじゃないですか!」

ユウジ11「詳しいことは全猫に聞きな。まあその話は置いといて、こっち向いてくれ」


黒板に目を向ける紺子と龍哉。ユウジ11はある数枚の写真を取り出し、黒板に磁石で貼りつける。


ユウジ11「あーい、ちゅうもーく。これらが何かわかる奴挙手」


生徒たちは次々と手を挙げ、ユウジ11は一生を指す。


ユウジ11「んじゃ、信楽」

一生「当たっちゃったよ…えーっと……ヨーロッパの観光地の遺跡とかですかね?」

ユウジ11「正解。この写真はギリシャのクノッソス宮殿とアクロポリス遺跡、イタリアのローマとポンペイだ。長期休暇になったら行く予定の場所でな」

盾子「いやいやいや、長期休暇って夏休みと冬休みぐらいしかないでしょ!?その間にそこ行って何する気なんですか!?」

ユウジ11「今それを言おうと思ってたんだ。お前らの中にロマンが好きな奴はいるか?体を動かすのは好きか?単位が欲しい奴はいるか?だったら俺のトコに来な!未知の冒険と単位、両方手に入れられるぜ?おっと、その前にこいつを忘れてたな」


そう言いながら自分の持つ資料から取り出したのは誓約書と書かれた紙。ユウジ11はそれを見せびらかすように紺子たちの前に突きつける。


ユウジ11「参加したかったらこの誓約書にサインな。俺に頼めばいつでも用意してやるよ」

ディーゴ「明らかに今日の授業の内容から離れてってる!?」

ユウジ11「嫌なら構わんぞ?その代わり…」

ディーゴ「ああああああああ!!今の言葉取り消しー!!」


とりあえずヨーロッパの遺跡の説明で時間を潰し、宿題を出したユウジ11であった。
宿題はプリントで今日の内容の穴埋め形式だったが、さすがに遺跡に関するものはなかった。


ユウジ11「次の授業までに終わらせろよ」

ライエル「夏休みに遺跡探索に行く奴いるのかなぁ………」

ユウジ11「もし全員来てくれたらホントに嬉しいんだが」










地理の授業が行われている一方、校長室にて。


貴利矢「いやー、悪いなぁ。ここって人間が入っちゃいけないトコだろ?陰陽師の俺にこの学園に入れる許可を出してくれるなんて感謝しますよ」


空から落ちてきた何かが気になって異生神妖魔学園に来た貴利矢は校長室でアルケーと対談していた。


アルケー「今のところあなたのような陰陽師は信用してもいいと思いまして。ですが、何か不自然なことをすれば………わかりますね?」


アルケーは笑顔で言うが、貴利矢にはわかっていた。自分が不審なことをすれば命はないと。


貴利矢「それは心得ている。さすがに学校を襲撃するほど自分、イカれてないんで。まあ最も俺の家を燃やした陰陽師はいるけどな。ホントに弁償しろや。あれ建てるのに時間かかったんだぞ………!?」

アルケー「陰陽師なのに他の陰陽師に家を燃やされたんですか?」

貴利矢「ああ。どうも他の外道なことをする陰陽師の怒りを買っちゃってさ、絶賛狙われ中なんだよね。今は遠呂智のEVOLUTION SPACEってカフェに居候してるが。あ、ちゃんと働いてはいるからな?俺だって陰陽師だから、悪事を働く妖怪を狩らないとダメだからな………そこだけは誤解がないよう頼むぜ」

アルケー「それはわかっています。それで、ここに来た用事というのは何ですか?」

貴利矢「どうもこの学園のどっかに空から落ちた奴がいるっぽくて、その気配と種族を確認するために来たんですよ」

アルケー「プールに落ちてきた子ですね。それって『浅井冬睡』君のことでしょうか?」

貴利矢「浅井…………?すまないが、もう一度そいつの名前言ってくれねぇか?」

アルケー「浅井冬睡ですが?」


落ちてきた少年の名前が書かれた紙を手渡された貴利矢が読む。


貴利矢「浅井冬睡………?あさい………とうすい………アサイ………トウスイ…………え!?」


名前から連想する貴利矢だったが、しばらくしてぎょっとした表情になった。
そして、こう悟る。『クトゥルフ関係か!?』と。


貴利矢「まさか……アザト―――――」

アルケー「はい、そこまで。貴利矢さん、それ以上言ってはいけません。狂気に飲まれてしまいますよ?」

貴利矢「おいおい、まさかのクトゥルフの生物もこの学校にいんの!?え、この学校大丈夫なんか!?そいつら狂気とかに飲まれてないよな!?」

アルケー「それはないと思いますよ?ところで貴利矢さん、あなたは本当に陰陽師なんですか?」

貴利矢「ひどくない!?龍華にも疑われたし、俺そんなに陰陽師っぽくないの!?」

アルケー「雰囲気的に嘘くさいというか………」

貴利矢「ねえ、やめて?俺泣くよ?確かにいつも嘘つくけど、そこまで言われるとさすがに泣くよ?」

???『イィィィィィィィィヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』


地下から女性の悲鳴が聞こえてきた。
だがその正体は神守以外にアルケーも知っていた。これは辰蛇の悲鳴だ。


貴利矢「うお!?何か叫び声が聞こえた気がするんだが!?」

アルケー「気にしないでください。学園長へのお仕置きですので」

貴利矢「いやいやいやいや、あんたらの学園長だろ!?何普通にお仕置きしてんの!?何かやったの!?」

アルケー「全猫先生の猫耳と尻尾をいじったらしく、その報復としてライオンの檻に入れられたようで」

貴利矢「外道だった俺が言うのもあれだが、エグくねぇか!?同じ陰陽師もドン引きするぞ!?」

アルケー「仕方ないですよ。セクハラを平然とする方なので。パンツの匂いも平気で嗅ぎますし」

貴利矢「ホントに大丈夫なのかこの学校!?なんか心配になってきたぞ!?」


冷や汗を流しながら焦っていると、校長室にトリノと神守が入ってきた。


貴利矢「あ、こないだの天狗とバステト」

トリノ「貴利矢さん、一時的でもいいので僕の代わり務めてください。胃腸薬が足りなくなってしまいます……」

貴利矢「無茶言うなよ!?俺、陰陽師だぞ!?教師向いてねぇって!!」

神守「ふむ、この際陰陽師が使う術を覚えるのもありか」

貴利矢「何この学校自由すぎね!?」


疑問を多く抱えた貴利矢だったが、人外にとっては当たり前だった。 
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