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異生神妖魔学園

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朝のHR→国語

紺子「今日はカズミンに起こされたからいいけど、問題は反省文…先生満足してくれるかな?」

カズミン「出雲姐ちゃんのことだから大丈夫でしょ。先生もたぶん出雲姐ちゃんの遅刻に飽き飽きしてるし」


自己紹介から翌日、紺子が自分と同じ妖狐で9本の尻尾を生やした少女と学園に向かう途中こんなことを話していた。
その少女の名は『藤井一海』。昨日異生神妖魔学園に入学した子だが、両親はすでに他界している。そのため紺子の家に居候しており、昨日起こさずに紺子が反省文を書かなければならなくなったのは紺子と今話している一海が原因だった。
ちなみにカズミンというのは紺子がいつも呼んでいるあだ名だ。


紺子「お前はいいよなぁ、こっちなんか昨日散々だったんだぞ?先生なんかコウモリ飛ばしてきやがるし、おかげでトラウマになっちまった…」

一海「だからそれは謝るけどさ、ホントは出雲姐ちゃんだっていけないんだよ?いつも僕に起こされてさ……たまには自分で起きなよ。もう2年でしょ?」

紺子(両親が死んだくせにガタガタ言うなよな…いつまでも寝てたいんだよ私は…)


紺子がしかめっ面でそう思っていると、彼女たちの隣に銀髪のショートのイケメン少年が白いロードバイクを押しながら歩いてきた。


イケメン少年「あっ、紺子とカズミンじゃないか。おはよう」

一海「牙狼君」

紺子「おう牙狼。おはよう」


彼の名は『白銀牙狼』。紺子が幼稚園の頃から一緒にいる幼馴染みだ。


牙狼「カズミン、ちょっと遅れたけど入学おめでとう。紺子が元気なさそうなんだけど、また何かやらかしたのかい?」

一海「そうなんだ。昨日出雲姐ちゃんが遅刻してね、僕に『お前のせいだ』って責任なすりつけてきたんだ。起こさなかった僕も悪いけど、もう2年なんだよ?たまには自分で起きなよってつくづく思っちゃうよ」

紺子「またその話を蒸し返す気かコラ?殴んぞ」

牙狼「あー、ほらほら…それやめようよ。そうやって誰かに喧嘩売ってまた泣かされるんだから。君の泣き虫は昔から変わってないし」

紺子「うー…お前まで…」


頬を赤らめて涙目になった紺子であった。


一海(全く、出雲姐ちゃんの泣き顔かわいいんだから………写真撮りたくなるなぁ………)















紺子たちは校舎へ入った。それにチャイムが鳴る前だったからよかったが、これからやる授業がまさかあんなことになるとは思っていなかった。





ヴォイエヴォーテ「よし、朝のHRだ。日直は誰だ?」

紺子「あれ、誰だろ?龍哉か?」

龍哉「違うぞ。ディーゴだろ?」

ディーゴ「ちゃう。ライエルじゃろ?」

ライエル「いや…ディーゴだよね?」

ディーゴ「だったら龍哉か?」

龍哉「紺子だと思うぞ?」

紺子「私だ」



ガタタタタッ
バッタンッ



クラスメイトたちは全員机ごとずっこけ、ヴォイエヴォーテは教卓の天板を顔にぶつけた。


ヴォイエヴォーテ「何を威張っているんだ!!日直ならちゃんと手を挙げんか!!」

紺子「もう、先生ってジョークわかんないの?」

ヴォイエヴォーテ「ジョークとかそういう問題じゃないだろ!そんなことよりさっさと進めんか!話が進まん!」

紺子「あいよー。起立。礼。着席」





ヴォイエヴォーテ「欠席者は0か…もうしばらくしたら授業が始まるが、昼休み後には全員体育館に来るように。1年とのレクリエーションがあるからな。よし、朝のHRはここまで。この後国語の授業があるからそれまで準備しておくように」


ヴォイエヴォーテは資料をまとめ、紺子から反省文を受け取り、教室から出ていった。


龍華「紺子、お前さ……さっきジョークって言ってたけど、さすがにわざとだろ?」

紺子「いえ、マジなジョークです」

龍華「泣き虫な割には何でふざけんのかなぁ………」

辰美「紺子様~、1時間目って何時からでしたっけ~?」

紺子「んあ?8時50分だぜ」

辰美「わかりました。ありがとうございます」

司「ヤッベ、初日から教科書忘れちまった」

龍哉「大丈夫だよ、俺が貸してやるぜ」

司「悪りぃな。俺様最近物忘れがひどいからな。窮地に教科書を得るってのはこのこった」

冷火「その年でもうアルツハイマー!?(いやマジあり得ねぇよ!てゆーか何初日から忘れてんだよ、アホか!)」

ディーゴ「お、俺も忘れてもた!なあ紺子、貸してくれね?」

紺子「ハァ!?だったら隣に頼めや!何私に頼んでんだよバカか!てかお前も初日から忘れてんじゃねーよオンボロ機関車!」

ディーゴ「何じゃと紺子!やったろかゴラァ!!」シュウウウウーッ


そう、紺子の言う通りディーゴは車掌の姿をした蒸気機関車の付喪神。鼻から白い煙を出しながら怒鳴ると、紺子の胸ぐらをつかんだ。


紺子「え、ちょ…マジで?ヤバイ、轢かれる…!」

ディーゴ「泣き虫狐の分際で偉そうな口叩くとはいい度胸じゃな、おい!轢きはしねぇが今から表出んかい、あ!?」

紺子「え……嫌…お願い、待って………」


紺子は泣きそうな顔で懇願するが、ディーゴは気づいていなかった。
これから自分の身に起こる悲劇を………背後から大口を開け、鋭い歯をむき出しにした仁美が迫ってきていることを………。





仁美「喧 嘩 は や め ま し ょ う ね デ ィ ー ゴ く ~ ん ?」



ガブッ



ディーゴ「痛っだァァァァァァァァァ!!?」


なんということでしょう、仁美が噛みつく音とディーゴの悲鳴が教室の外まで響きました。
ちょうど教室に眼鏡をかけた女性の烏天狗の先生が入ってきたのだが………。


烏天狗「いや何がどうしてそうなったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


目の当たりにしたのは紺子の胸ぐらをつかんだディーゴ、ディーゴの頭に噛みついた仁美だった。


ライエル「あ、先生……」


その後ライエルがさっき起きた出来事の一部始終を話したが、烏天狗は半分呆れていたとのこと。
確かに隣に頼めばいい話だが、授業初日から忘れ物するって…………………。


烏天狗「……き、今日はオリエンテーションだから仕方ないよ。次から気をつければいい話だし」

司「あいよー」

仁美「わはっは~?(わかった~?)」

ディーゴ「わがりまじだ…いい加減放してくだせぇ…」

紺子「お前も放せよな…」

仁美「あー不味かった」

仁美とディーゴ以外全員『食べる(食う)気だったの(かよ/んか/んですか)!!?』





やがてチャイムが鳴り、クラスメイトたちは全員席に着き、机上に教科書やノート、筆記用具を出した。


紺子「起立。礼。着席」

烏天狗「はーい、皆さんちゅうもーく!僕は国語担当の烏丸トリノ。よろしくね」

全員『よろしくお願いしまーす!』

トリノ「今日はオリエンテーションだけど、教科書忘れちゃった人もちらほらいるみたいだから隣の人に見せてもらってね」

ディーゴ「わかってますって(チクショー…まだ痛む…)」

ライエル(全然わかってないセリフだこれ)

トリノ「で、何やるかだけど……まずは自己紹介、それから教科書の内容確認して、その後1年に習った漢字テスト。みんな覚えてるかなー?」

獄宴「ヤバイな…春休みずっと遊んでたからほとんど覚えてないかも…」

死宴「私は覚えてるけど教えてあーげない♡」

炎宴「何そのカンニングする気満々な発言!?」

トリノ「ちなみにカンニングしたら急遽テスト用紙取り上げて職員室に呼び出します」


1人と2体の会話が聞こえたのか、さっきまで明るく話していたトリノが急に真顔になり、声のトーンを低くしながら言った。


獄・炎・死「「「ひ、ヒィィ!?」」」

司「声低っ!?」

許人「さっきまで明るく言っていたのに急に真顔で言われると怖くなるんですけど………」

トリノ「それが当たり前なの。わかる?」

紺子「私は先生によってそれぞれ違うと思うんだけどなぁ…」

トリノ「正解!」

紺子「あっ、また笑顔だ」

トリノ「カンニングしなければ僕だって怒らないよ。要は真面目に授業受けて、真面目に家で勉強すればいいからね。さて、ちょっと長くなっちゃったけど皆さんの名前聞きますか。まずそこの狐さん」

紺子「私だな。出雲紺子です」

龍哉「赤川龍哉です!」

ディーゴ「ディーゴ・黒鉄だ!よろしく頼む!」

ライエル「鐵ライエルです…」

仁美「大蔵居仁美だよ~」

司「俺様は竜宮寺司だ。大財b…いや、何でもねぇ。続けてくれ」

獄宴「うん。僕は三頭獄炎」

炎宴「私、炎宴」

死宴「死宴よ。よ ろ し く ね ん♡」

辰美「魚岬辰美です。いつも紺子様のために尽くしてます」

冷火「鬼灯冷火です…(またやんのかよめんどくせぇ!次の授業もこんな感じなのかよ!)」

乱「シュゴーランの四郷乱です。キス魔なのでチュー意してくださいっ♡」チュッ

冷火(注意とチュー意…うわーつまんねー)

セー「セー・シレインです…」

許人「山如許人です…これでもだいだらぼっちです」

高見「私、彼方高見…」

龍華「雨野龍華だ!よろしく頼む!」

一生「化け狸の信楽一生です」

盾子「大壁盾子!よろしく!」

トリノ「いや~、みんな個性的でいいね~。先生にもいろんな種族がたくさんいて困っちゃうよ」

紺子「どんなのがいるの?」

トリノ「さあね。よし、みんな自己紹介したところで、オリエンテーションに入りますか!」





教科書の内容の確認はあっという間だった。ちなみに確認したのは人間界の物語、詩、和歌、エッセイなどだった。
トリノは漢字テストの用紙を取り出し、紺子たちにも指示を出した。


トリノ「はーい、漢字テストするよー。筆記用具以外出しちゃダメだからねー。教科書とノートはちゃんと机の中に入れてねー」


紺子たちは教科書やノートを机の中にしまい、教科書を借りている者は持ち主に返した。トリノは紺子の列から順にテスト用紙を配る。


トリノ「みんな行き届いたみたいだね。それでは…始め!」


制限時間は15分。紺子たちは早速問題に取り組む。
問題数は読み書き合わせて10問だった。


紺子(こんなの私の好きなクイズ番組で見たから簡単簡単!)


紺子はスラスラ解いていくが、周りを見ると、ほとんど覚えていないのか手が止まっている者がちらほらいた。
春休み中ずっと遊んでいたがために致し方なし。


紺子(………って、ん?)


ところが終了間近、紺子は自分の書いた解答に何かおかしいことに気づいた。
なんと絶望的なことに、解答欄が全てずれていたのだ。


紺子(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!何してんだよ私!!こんな時に限って…うわああああああああ!!)


紺子は慌てて消しゴムで解答を全て消し、必死にさっきの解答を書いていくが間に合わず、トリノが手を鳴らした。


トリノ「はい、そこまで!手を止めて後ろから回収してください」

紺子「間に合わなかった…終わった……」


紺子は絶望のあまり目から涙が溢れ出し、机に泣き伏してしまった。
テスト用紙が次々回収されていく中、龍哉は泣いている紺子に声をかけようとした。


龍哉「紺子、どうした?大丈夫か?」

紺子「私はいいから持っていってくれ……」

龍哉「お、おう…(たぶんこれ解答欄ずれてたとかそういうパターンかな?)」


龍哉は紺子のテスト用紙を手にし、教卓まで持っていった。


トリノ「1、2、3、4……うん、これで全部だね(何で紺子さんのだけベッチョベチョに濡れてんの!?)」


見ると確かに紺子のテスト用紙だけ涙で濡れていた。


トリノ「あっ、ちょうどいい時間だね。もうそろそろチャイム鳴ると思うけど…」


時計を見ると、授業の終わりの時間が近づいてきていた。そして授業終了のチャイムが鳴った。


トリノ「はーい、これで国語の時間は終わりー。ところで紺子さん、君日直なのにどうしたの?何で伏せてるの?」


すると急に校内放送が流れてきた。


???『あー、マイクテスマイクテス。あー、あー!』

龍華「何だ?」

???『教室内の皆さん、正面向かって右手側をご覧くださ~い』


泣いている紺子以外全員右を向くが、壁しかない。ちなみにトリノは紺子たちの方を向いているので左を向いた。


ライエル「壁しかないけど………」

龍華「壁になんかあるのか?」

???『壁です』



ガッシャガタガタドタバッターン



教室にいる教師含めた全員がずっこけた。特に紺子は泣きながら転げ落ちるようにずっこけていた。


トリノ「なら何で放送した!?」

???『暇だったので』

トリノ「遊ぶな!?」 
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