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勇者番長ダイバンチョウ

作者:sibugaki
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第26話 激戦開幕!喧嘩相手は未来からやってきた その3

 
前書き
投稿にかなり時間が経ってしまい申し訳ありませんでした。
今回はまた別の人がやらかしちゃうそうです 

 
 今日は平和な日曜日。しかも今日この日だけは公務も休みな為にほぼ一日丸々オフと言う最高な朝を迎えていた。
 そんな朝、はやてはウキウキ気分でテーブルの前に座っていた。
 その視線の先では彼女の下僕(?)の力が鼻歌混じりに朝食を作っている。

「嬉しいなぁ。力君が朝食作ってくれるなんて」

「いつも作ってもらってばっかだからたまにはな」

 そんな他愛無い会話をしていると料理が出来たのか湯気の立ち登る皿を持って来た。

「ほぉら、たんと食えヨォ。今日の朝食はお前の大好物の




     ・・・野鼠の○○○だ」




***




「ぎぃぃぃやぁぁぁぁぁーーーー!!!」

「うぉっ! ビックリしたぁ!」

 目が覚めると、そこは見覚えのあるようなない様な場所だった。
 すくなくとも自宅ではない事は確かだった。

「えと、此処は?」

「此処は俺ん家だよ」

「ほぇ?」

 振り返ると、其処には困り果てた顔をする番と笑みを浮かべる真の姿があった。

「全く、兄ちゃんのそそっかしさにも困ったもんだよな。まさか彼女を間違えるなんてさ」

「すまなかった! まさかあんたと美智を間違えちまうなんて!」

「えぇっと、もしかして・・・バレてる?」

「おぅ!」

 はやての問いに自慢げに答える真。
 
「因みに、いつから?」

「番兄ちゃんはさっきだよ。俺は最初から分かってたけどさ」

「そ、そうなん?」

「だってはやて姉ちゃん此処にくるなり俺にいの一番にハグしてくれなかっただろ? 美智姉ちゃんなら必ずやってくれたぞ」

「マジでか!?」

 どうやら誤魔化し作戦は最初辺りから破綻していたみたいだ。

「わ、私が苦労して誤魔化そうと思っとったのにぃ!」

「まぁまぁ、そんなに落ち込む事はないって。元気出しなよはやてちゃん」

「うん、あんがとぅ・・・何で私の名前知っとぅの?」

「ん? はやて姉ちゃんの荷物の中に免許があってさ。それでさ」

「ま、まさか! そこまで!?」

「ふふふ、こう見えて可愛い子ちゃんを見分ける目に関しては兄貴より遥かに上なんだぜ! ほんの些細な違いですら俺には丸分かりだぜぃ!」

「な、なんやろう。私の知ってる男連中の中で初めて見る類のキャラや!」

「だろだろぉ。俺に惚れても良いんだぜぃ。はやて姉ちゃん」

「おいおい真よぉ。はやて姉ちゃんほどの別嬪さんだぜ。きっと彼氏くらい居るに決まってるだろう」

「えぇ!? え、えぇっと・・・」

 何だからどんどん持ち上げられてる気がして居た堪れない気持ちになってきた。
 そもそも彼氏などと言われてもそれに準ずる存在など居ただろうかとはやては真剣に考えてしまった。
 
(か、彼氏って・・・力君・・・はぁ・・・彼氏?・・・彼氏何やろかぁ?・・・彼氏?・・・彼氏かなぁ?・・・彼氏・・・って言ってえぇんかなぁ?)

「な、なんかすっげぇ悩み出したぞはやて姉ちゃん」

「きっと彼氏さんの事で頭がいっぱいなんだろうよ。泣かせるねぇ! こんな良い彼女をほっぽってその彼氏は今何してやがんでぃ!」

 因みにその彼氏(?)と思わしき方は現在番の彼女に振り回されております。

「なぁに、そんなに悩むこたぁねぇってはやて姉ちゃん。もし彼氏に捨てられたら俺が姉ちゃんの彼氏になってやるからさ」

「お、おおきになぁ」

「お前なぁ。はやてさん困ってんだろうが。大体お前みたいなガキがはやてさんと釣り合う訳ねぇだろ?」

「へへん、男は年じゃなくてどれだけ女に尽くせるかで決まるんだぜ」

「だからって女の子相手に片っ端から声をかけるのもどうかと思うがな。お前は拙僧がないんだよ!」

「兄ちゃんが朴念仁過ぎんだろ?」

「るせぇ! 男ってなぁ惚れた女相手以外にゃ見向きもしねぇんだよ!」

「その割には彼女間違えてんじゃねぇか!」

「そ、それは・・・」

 完全に墓穴を掘った番であった。

「はいはい、喧嘩は其処まで! テレビでも見て仲直りしよぅや」

 こう言う時は文明の力に頼るに限る。
 ってな訳でテレビをつけようとリモコンを探すのだが、リモコンらしき物がどこにも見当たらない。

「あれ? テレビのリモコンは?」

「リモコン? 何だよそれ。鉄人でも動かすのか?」

「ちゃうちゃう。テレビのリモコンやで」

「テレビにリモコンなんてねぇよ。ダイヤルで動かすんだよ」

「そ、そこまで古いんかぁ!!」

 はやてもその手の類のテレビは聞いた事はあるがまさか実物を見ることになろうとは思っても見なかったようだ。

「すげぇんだぜ。こないだヤクザの奴らが最新式のカラーテレビっての持ってきたんだぜ!」

「これで今後のアニメは色付きで見られんな」

「はぁ・・・」

 色付きテレビなどはやての居た時代なら当たり前のことなのだが、番達の居るこの時代ではいまだに白黒が主流のご家庭もあったそうだ。

「なぁ。はやてちゃんは何処からきたんだ? もしかして未来からとか?」

「何馬鹿なことか言ってんだよ真。はやてさんはきっと都会のいいとこのお嬢さんに決まってんだろ」

「あ、あはは・・・ど、どないやろうねぇ」

 言えなかった。まさか真の言う通り未来からやってきたなんて言えるはずが無い。そんな事を言おう物ならパニックを引き起こしてしまうことになる。
 この時代の彼らを巻き込むわけにはいかない。

「ん? おい兄貴」

「何だよ今度は?」

「今ニュースでやってるこの場所って、家から近いんじゃね?」

「なんだなんだ?」

 三人がテレビの前に集まる。そこにはデカデカとこう書かれていた。

【謎の宇宙人襲来! 暁のデートスポットにてとあるカップルのデートを妨害!?】

 と書かれていた。そして、其処に映し出されていたのは複数の巨大なロボットだった。

(あ、あれはアルフェリス!? ってか、何しとるんやあいつら! 他人様のデート邪魔するなんてそれでも正義の味方かいな!)

「おい! ありゃドリルじゃねぇか! こうしちゃいらんねぇ」

 急ぎ飛び出そうとする番。それに続いてはやても外へと飛び出していく。

「って、何ではやてさんまで?」

「お願いや番ちゃん! 私をあそこまで連れてってな!」

「な! だめだだめだ! そんなの危なすぎる! 第一はやてさんに怪我でもさした日にゃ、俺は彼氏さんになんて謝りゃーーー」

「喧しい! 大の男がガタガタ抜かすな!」

「お、おぅ!?」

「小さい事ぐちぐち言っとらんではよ連れてってな! でないと色々と手遅れんなってまうわ!」

「わ、分かったぜ! はやてさんがそう言うんなら俺に任せろ!」

 そう言って番は駐車場に止めてあったバンチョウを無理矢理叩き起こして現場へと向かうことにした。
 尚、その際にバンチョウが文句を言っていたが同じようにはやてが怒鳴りつけたら大人しくなったそうだ。

(強ぇ、はやてさん美人なだけじゃなくてあんなに強ぇのかよ。こりゃ彼氏さんも相当運が良いやつだな。こりゃ将来良い奥さんになるぜきっと)

 どうやら昭和世代の男子は強い女性が好みのようでした。




***




 夕陽の見える海原。そこはいくつものカップルがデートする場所として結構有名な場所でもある。
 今日も其処には複数のカップルが互いの愛を誓い合っている真っ最中なのであり、勿論こいつもそうであった。

【素敵な夕焼けだね。ドリ子さん】

 夕焼けを眺めながら語るはドリルことドリル番長。今回、彼は覚悟を決めてこのデートスポットに訪れていた。
 その隣には彼が愛するであろう夕日と同じ色合いのドリル戦車が並んでいる。

【まるで空一体がドリ子さんと同じ色になったみたいだ。だけど、俺にはドリ子さんのその燃えるような夕焼けのボディの方が何倍にも素敵に見えるよ】

 何処かで聞いたことのあるような臭いかセリフを並べまくるドリル。
 その近くではドリルの持ち主でもある木村さんと天音さんの二人、更にその横にはビークル形態のレスキューとレッドの姿もあった。

「頑張れ、ドリル! 此処が男の見せ所だぞ!」

「うん、頑張ってねドリル君!」

 因みにこの二人、ドリルのこれが縁となり最近付き合い出してるようで、互いの中は良好なようだ。

【気張るんじゃゾォドリル。くぅぅ、若い頃を思い出すのぉぉ!】

【皆さん、ドリルさんそろそろやるみたいですよ!】

 一堂が静かに見守る前で、ドリルが人形に変形する。そしてドリ子と名付けたドリル戦車に光り輝く原石を見せてきた。

【見てくれドリ子さん。貴方のために掘り起こしたダイヤの原石だ。今はただの石の塊だが、磨けば光り輝くダイヤモンドになる。俺たちもそんなふうな関係を気付きたいんだ!】

 いよいよ告白の場面へと差し掛かろうとしている。
 場の空気は正に最高潮へと達する勢いだった。

【ドリ子さん! お、おお、俺と・・・俺と・・・俺とk【ちょっと待ったあああああああ!】な、なんだぁ!?】

 せっかくの大事な場面で水を刺されてしまい告白が台無しになってしまった。
 いったいどこのどいつだと怒りを露わにしながら声のした方、つまり上空を見る。
 そこにはドリルに向かい三機のロボットが降下してきていた。

【悪党め! お前たちの思い通りになどさせん!】

【なんだてめぇらゴフォッ!】

 突然現れた三機のロボットに盛大に蹴り飛ばされるドリル。
 その光景を見た周りも思わず唖然としていた。
 しかし、そんな事突然現れた三機は気にもせずにーーー

【ボルト、ガンザー! それを壊せ! きっと何か悪い事をする道具に違いない!】

【おうさ!】

 そう言って足元に転がるダイヤの原石を何も迷う事なく踏み潰して粉々にしてしまった。

【あああああああああああああああ! お、俺が苦労して掘り起こしたダイヤの原石がああああああああああ!】

 起き上がったドリルが見たのは突如やってきた三機のロボットによって粉々にされたダイヤの原石の無惨な姿だった。

【へ? ダイヤの原石!?】

【これ、何かの侵略兵器とかじゃないのか?】

【ったりめぇだろうがこの唐変木ども! はっ! それよりドリ子さんは!?】

【ドリ子さん? それってそこで横転してる奴のことか?】

 そう言ってガンザーが指差す先には見事に横転して煙を吐いてるドリ子さんの姿があった。
 フレームは傷だらけになっててキャタピラは千切れてて、自慢のドリルはヒビが入ってて。要するにボロボロになっていた。

【ぎゃあああああああああ! どどど、ドリ子さんがああああああああ!】

【な、なんか・・・侵略者じゃなさそうだぞ】

【だな。確かに悪のエネルギーは感知したんだが】

 注意、バンチョウ達は街は守ってるが基本的に悪人なので正義の勇者達が持つ悪者センサーに割と良く引っかかってしまうのだった。

【ゆ、ゆるさねぇ・・・よくも、よくも俺の愛するドリ子さんをこんな酷い目に遭わせやがったな】

【お、落ち着いてくれ! 我々は君たちの敵じゃない! この星を守る為の存在であってーーー】

【知るかそんな事! 俺の愛するドリ子さんを傷物にしやがって! てめぇらのオイルは何処製だあああああああああああ!!】

 完全にブチ切れたドリルが両肩のドリルをこれでもかと高速で回転させながら怒りを露わにしている。
 心なしかドリルが泣いてるようにも見えた。
 あぁ、悲しきはドリル番長。一世一代の告白をよりにもよって正義の味方に邪魔されることになろうとは。



    その4へつづく 
 

 
後書き
力やはやてに続き、アルフェリスも過去入り。そして早速トラブルに巻き込まれた様子で、一体どうなるのか? 
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