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歪んだ世界の中で

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第十三話 希望の親その九

「ですから。教科書を丸暗記ではなくです」
「人間として勉強していくべきなんだね」
「僕はそう考えています」
「僕もだよ。勉強からもね」
 そこからもだと。希望は登校しながら真人に答えていく。
「得られるものがあるから」
「遠井君の場合は今は」
「うん、決別だね」
 それだというのだ。
「あの両親からね」
「それにしてもよかったですね」
「おばちゃん達が言ってくれたからだね」
「はい、本当によかったですね」
 優しい笑みでだ。真人もこのことを喜んでいた。
「あのお家にいても何にもなりませんから」
「お父さんとお母さんだと」
「いい両親なら何の問題もないです」 
 そうした親も実際にいる。しかしだというのだ。
「ですが。悪い親である場合はです」
「去ることができるのなら、だね」
「去ってもいいです。かえって無理に傍にいることが駄目です」
 そうなるよりもだというのだ。
「ですから。遠井君は最後の最後まで諦めないで下さい」
「お父さん、お母さんと別れて」
「大叔母さん達のところに入って下さい」
「おばちゃん達がいてくれてよかったよ」
 心からだ。希望はこう思っていた。
「あの人達がいてくれるから」
「遠井君はまた新しい道に入られますね」
「暗い道にあえている必要はないんだ」
 このこともだ。希望はわかったのである。
「明るい道に出られるのならね」
「その明るい道を歩くべきです」
「暗い道にいても何にもならないんだ」
 これまで歩いてきた道はだ。そうした意味でも駄目だというのだ。
「明るい道に出られるのならそこに出てね」
「歩けばいいんです」
「あの道に戻らない為にも」
「そうです。道は一つじゃないですから」
「そしていい道もあれば悪い道もあるから」
「いい道があるのなら」 
 それならばだった。
「その道を進みましょう」
「そうだね。ましてやね」
「そのいい道にいる人達が笑顔で迎えてくれています」
 ここではおばちゃん達だった。希望にとってのこの場合の親達がだ。
「では断る理由もないですね」
「そうだね。じゃあね」
「道に入って下さい」
 また言った真人だった。
「そのいい道に」
「そうするよ。じゃあその道に入る為の資格かな」
 資格という言葉もだ。彼は出したのだった。
「それがいるかな」
「そうですね。この場合はそうですね」
「僕はテストでね」
 自分がこれから受けるだ。それからだというのだ。
「その資格を手に入れるよ」
「自分で自分自身にですね」
「うん、その為に頑張ってきたし」
「だからこそ」
「ここで全力を出していくよ」
「そうされて下さい。それで、ですけれど」
 ここでだ。こうも言ってきた真人だった。
「テストの結果がわかったら」
「それがわかったら?」
「二人で御祝いしませんか」
 その時のことをだ。真人はにこりと笑って希望に話してきたのだ。 
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