歪んだ世界の中で
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第十一話 テスト勉強その五
「それと冷凍うどんも」
「あれもなんだ」
「あれも美味しいよね」
「そうなんだよね。結構ね」
「御湯に入れてすぐに食べられるし」
そしてさらにだった。
「コシもいいし」
「そうそう。僕もあれはね」
「希望も冷凍うどん好きだったんだ」
「うん、好きだよ」
実際にそうだとだ。希望は笑顔で千春に答える。
「いい食べ物だよね」
「そうだよね。だから大好きなの」
その冷凍うどんもだとだ。千春は言うのだった。
「今のこうした普通のおうどんも好きだけれど」
「成程ね。それとだよね」
「それとって?」
「千春ちゃん中華料理も好きだよね」
夏休みに二人で行ったその時のことを思い出してだ。希望は千春にこのことを話した。
「そうだよね」
「うん、好きだよ」
「あの時豚足ラーメン御馳走してくれたけれど」
「豚足ラーメン、ああ」
その料理の名前を聞いてだ。真人が言ってきた。
「あのラーメンですね」
「友井君も知ってるんだ」
「はい、中華街で食べたことがあります」
真人は笑顔でこう希望に答えた。
「確かにあれもですね」
「美味しいよね」
「僕好きです」
そのだ。豚足ラーメンをだというのだ。
「こってりとした味かと思えば」
「ラーメン自体はあっさりした感じだよね」
「ですよね。それに何と言っても」
「豚足がね」
「あれがいいです」
料理のトレードマークともなっているだ。その足がだというのだ。
「食べがいがありますし」
「そうそう」
「そうですか。あのラーメンをですか」
「二人で食べてきたんだ」
「それはいいことですね」
希望のその話を聞いてだ。真人は希望だけでなく千春に対してもこう述べた。
「とても」
「うん。中華街にも行ってね」
「デートですね」
「楽しかったよ」
笑顔でだ。希望はあの頃のことを言えた。
「とてもね」
「そうですよね。それとです」
「それとっていうと」
「中華街は他のお店には」
「ええと。確か」
「色々回ったよ」
今一つはっきり思い出せない希望の横でだ。千春が笑顔で言ってきた。
「土産のお店もね」
「あっ、そうだったね」
千春の言葉を聞いてだ。希望も思い出した。
そしてだ。こう言ったのだった。
「扇見たよね」
「中国の扇ね」
「それに他のものも」
「色々見たよね」
「買ったし」
「そうそう。楽しかったよね」
希望は蕎麦をすすりながら笑顔で千春に言う。
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