歪んだ世界の中で
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第十一話 テスト勉強その四
「そうしよう。一緒にね」
「一緒にですか」
「そう。一緒に食べよう」
千春は明るい笑顔でだ。真人に告げた。
「そうしよう。それでいいよね」
「そうですね。それではです」
「一緒に食べてね」
そしてだというのだ。
「千春達とね」
「わかりました。それでは」
「有り難う」
千春だけでなく希望もだ。童子にだった。
真人に対して礼を述べた。そうしてだ。
三人で食堂に行き食べはじめる。三人の食べるものは。
希望はざる蕎麦定食、千春は木の葉丼とすうどん、そして真人はラーメンと炒飯だった。
そのラーメンを食べながらだ。真人は千春に問うた。
「あの」
「何?」
「遠井君とは夏休みに知り合ったのですね」
「うん、そうだよ」
「はじめの頃に」
「そうだよ。知ってるのね」
「少しですが」
知っているとだ。答える真人だった。
「遠井君から御聞きしました」
「そうだよ」
ここでだ。希望も答える。
「僕から話したんだよ」
「それで。僕にお薬も」
「あのお薬どうだった?」
「有り難うございます」
自分の向かいに座る希望の左の席にいる彼女にだ。真人は礼を述べた。
「お陰で治りました」
「そうなの。治ったのね」
「はい」
怪我はだ。そうなったというのだ。
「無事にそうなりました」
「よかったね」
「貴女と遠井君のお陰です」
今度は二人を見ての言葉だった。
「そのお陰です」
「千春は何もしてないよ」
千春は真人にもこう言った。
「貴方にお薬を渡したのは希望だから」
「ですがその遠井君にです」
「お薬を渡したのは?」
「貴女ですから」
こうだ。真人は千春に言ったのである。
「ですから」
「御礼、言ってくれたの」
「そうです」
まさにだ。その通りだというのだ。
「あらためて。有り難うございます」
「わかったわ。それじゃあね」
「はい、そういうことで」
二人で言ってだ。そのうえでだ。
お互いに笑みになったのだった。そしてだった。
上城もだ。こう二人に言ってきた。
「あのね。御礼の言い合いもいいけれど」
「うん、どうしたの希望」
「何かありますか?」
「いや、折角三人で食べてるから」
それでだというのだ。
「もっとね。食べ物の話をしようよ」
「そうですね。食べてるんですし」
真人がだ。希望のその言葉に笑顔で頷いてだ。
そうしてだ。こう言ったのだった。
「そのお話をしますか」
「そうだよね。じゃあ千春はね」
「うん、千春ちゃんは?」
希望がだ。千春の言葉を受けて問い返した。
「どうしたのかな」
「おうどん好きだけれど」
ちょうど今だ。そのうどんを食べていた。
「その中でも天麩羅うどんが好きなの」
「あっ、そうなんだ」
「そうなの。木の葉の天麩羅も好きで」
具体的にだ。どんな天麩羅も好きかとも言う千春だった。
「それとおうどんもね」
「どんなのが好きかな」
「きし麺も好きだし」
「ああ、あれね」
希望はきし麺と聞いてすぐに頷いた。名古屋の麺で平べったい。その平べったさが独特の味とコシを生み出しているのだ。名古屋名物なのは言うまでもない。
「あの麺がなんだ」
「そう、好きなの」
こう希望と真人に話すのだった。
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