イベリス
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第四話 家でこっそりとその十二
「わからないでしょ、別に飲まないと死ぬものじゃないし」
「お酒ってね」
「飲んでまずい、楽しくないなら」
それならというのだ。
「もうね」
「飲まなかったらいいわね」
「本当にそう思うわ」
「やっぱりね」
「確実に身体壊す麻薬は論外でも」
それでもというのだ。
「お酒はね」
「それでいいわね」
「咲ちゃんも楽しんで飲んでね、ただね」
「ただ?」
「私はまだ経験はないけれど」
それでもというのだ。
「自棄酒もね」
「ああ、それね」
「憂さ晴らしのね」
「それもなのね」
「まあ時としてはね」
「あるのね」
「そう、そうでもないとやっていられない時もね」
「人間あるから」
こう咲に話した。
「そのことも覚えておいてね」
「わかったわ」
咲は従姉の言葉に頷いた。
「嫌なことを忘れることもあるのね」
「時としてね。それで今はね」
さらに飲みつつ話した。
「楽しんでね」
「そうして飲むことね」
「そうしていきましょう」
愛は自らこう言って飲んでいった、そうして歌も歌った。そのうえで咲に酒のことをさらに話していった。
第四話 完
2021・2・22
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