痩せている理由
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第三章
「食べる量が凄いですね」
「やっぱり身体動かすからね」
「それもかなりですね」
「ええ、それはもうね」
「普通の人と比べて」
「桁が違う位にね」
そこまでというのだ。
「食べることがね」
「レスラーですね」
「というかよ」
「食べないとですね」
「やっていけないでしょ」
レスラーはというのだ。
「そうでしょ」
「はい、それは」
まさにとだ、由佳も答えた。
「どうしてもです」
「そして食べることもね」
「レスラーの仕事ですね」
「だからね」
「私もですね」
「どんどん食べなさい」
社長は由佳に強い声で告げた。
「いいわね」
「そうして強いレスラーにですね」
「なのよ」
「今以上に」
「はい、そうします」
由佳は強い声で頷いた、そうしてだった。
試合では覆面の悪役レスラーとしてリングに立ちブーイング実は熱い声援を受けつつファイトを行った。
大学の友人達はここで話した。
「八条プロレスのタイガーキラー人気よね」
「ここ数年人気あるのよね」
「悪役でね」
「覆面していて」
「もうファイトが凄く悪くて」
「かつてのダンプ松本さんみたいに」
尚この人はリングから降りると素晴らしい人格者である。
「悪の限りを尽くしていて」
「そんな人でね」
「ファイト映像で見ると確かに悪いわね」
「極悪非道ね」
「正体は不明らしいけれど」
「人気あるわね」
「由佳も知ってる?」
彼女達は由佳に問うた。
「タイガーキラー」
「あっ、ちょっとね」
目を泳がせてだ、由佳は応えた。
「私ヒールは好きじゃないから」
「そうなの」
「それでなの」
「知らないの」
「プロレスはね」
目を泳がせかなり汗をかきながら話した。
「好きだけれど」
「それでもなの」
「よく知らないの」
「タイガーキラーは」
「まあ活躍してるならね」
それならとも言った。
「いいんじゃないかしら」
「果たして正体は誰かしら」
「実は近くにいたりしてね」
「タイガーマスクみたいにね」
「名前も似てるしね」
「悪役ってところも」
タイガーマスクは最初は悪役であった。
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