ドリトル先生と不思議な蛸
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第十幕その十
「誰かを助けたり守る時に前に出る」
「それが勇気だよね」
「恐怖を知って他の人の為にそれに勝つ」
「それが勇気でね」
「危険なものにあえて向かうことじゃないね」
「蛮勇と言ってもね」
先生はこの言葉についてもお話しました。
「それもだよ」
「また違うね」
「蛮勇はあえて向こう見ずになって前に出る」
「その時はそれをするのが一番だと判断して」
「そういうものだから」
「そうした行為は蛮勇とも違うわね」
「それは愚行と呼ぶべきだよ」
蛮勇ではなくというのです。
「むしろね」
「そうだよね」
「もう無駄に命を落としかねない行為で」
「そうしたことをする人もいるから」
「事故が今後も起きないとは言えないわね」
「どうしても」
「残念なことにね」
そうだとです、先生は皆にお話しました。
「そうだよ」
「やっぱりそうだね」
「残念なことだけれど」
「そうした人もいるから」
「事故についてはね」
「河豚だってそうだね」
毒があるこのお魚もというのです。
「肝臓は強い毒があるね」
「河豚の中でもね」
「物凄く強い毒があるね」
「それで有名だよね」
「ふぐ肝っていったら」
「只でさえ当たると死ぬから鉄砲とすら言われているのに」
その河豚の中でもというのです。
「特に強いね」
「肝を食べてね」
「命を落とす人いるわね」
「物凄く美味しいからって言って」
「そのうえで」
「そうした人もいるね」
あえて河豚の肝つまり肝臓を食べたがる人もというのです。
「だからね」
「あえてヒョウモンダコに触ろうとして」
「それで噛まれる人が出るかも知れないのね」
「危ないってわかっていて」
「それで」
「そうした人は止めても聞かないから」
危ないと言ってもというのです。
「それに気付かない、うっかりという場合もね」
「あるわね」
「その場合も」
「そうしたつい、って人もいて」
「そうした人については」
「もう仕方がないよ」
先生は残念そうに言いました。
「過失の人もいるしね」
「そうだよね」
「ヒョウモンダコを知らなくてたまたま蛸壺の中にいて」
「それで獲ろうとして噛まれたりとか」
「そうした人もいるね」
「もうその場合はね」
「仕方ないね」
皆もそうした人はと言います。
「どうしても」
「そうした人についてはね」
「もう仕方ないとして」
「それでよね」
「事故は否定出来ない」
「ゼロじゃないね」
「そう、ゼロにすることはね」
完全にない様にすることはというのです。
「やっぱり無理だよ」
「交通事故だってそうだしね」
「どうしても起こるよ」
「それで噛まれる人がいるから」
「仕方ないね」
「どうしてもね、それとね」
先生はさらに言いました。
「もう一つあるよ」
「もう一つ?」
「もう一つっていうと」
「まだあるんだ」
「うん、研究中の事故もあるね」
この場合もというのです。
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