ガードレールのナマケモノ
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第二章
「この子は絶対に野生ですね、では」
「ジャングルにか」
「そっちに返すのね」
「こちらでそうします、後は任せて下さい」
「ああ、じゃあな」
「お願いするわね」
「はい、ナマケモノも保護が言われていますし」
ナマケモノも生態系の中にある、その為数の減少を警戒されてるのだ。このことは多くの生きものが同じだ。
「保護してくれて有り難うございます」
「いいさ、こっちも好きでやったしな」
「いいことが出来てよかったわ」
夫婦は施設の人に笑顔で応えた、そうしてナマケモノを施設に預けてだった。お互いの連絡先も聞いて。
ドライブを再開して遅い昼食を摂った、それは夫のリクエストでシェラスコだった。
そのシェラスコを食べつつ夫は妻に言った。
「こんなこともあるんだな」
「ええ、まさかね」
妻も応えた。
「ナマケモノを拾うなんて」
「夢にも思わなかったな」
「ああ、けれどな」
それでもとだ、夫は妻に笑顔で話した。
「保護出来てな」
「よかったわね」
「ああ、あのままあそこにいたらな」
夫はシェラスコを食べつつ述べた。
「どうなっていたか」
「車に轢かれていたかもね」
「そうだったかもな」
「そう思うと保護してよかったわ」
妻もシェラスコを食べつつ応えた。
「本当に」
「全くだな、休日に思わぬことがあったけれどな」
「助けられてよかったわね」
「後はあいつが自然に戻ればな」
「いいわね」
「吉報を待つか」
「そうしましょう」
施設からのそれをとだ、こう話してだった。
二人は今は昼食を楽しんだ、そのシェラスコは実に美味かった。
夫婦はこの日は休日を楽しみ翌日は二人共仕事だった。そして夕食の前に夫はメールを確認すると施設の人から来ていた。
そのメールを確認してだ、夫は妻に言った。
「あいつジャングルに戻ったぞ」
「そうなったの」
「ああ、メールが来ていた」
施設の人からというのだ。
「画像を観てもな」
「そうなっていたの」
「ああ、よかったな」
「本当にね、野生の生きものだとね」
「やっぱり野生の中で生きるのが一番だからな」
「ナマケモノもね」
「だったらな」
「ええ、本当によかったわね」
「そうだな、じゃあ食おうか」
夕食をとだ、夫は妻に笑顔で言ってだった。
そうして共に夕食を食べた、この夕食は昨日の昼のシェラスコに負けない位に美味かった。二人にとってはそうだった。
ガードレールのナマケモノ 完
2021・4・20
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