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レーヴァティン

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第百九十八話 下野と常陸その九

「そしてもてなしを受けてだったな」
「それで提灯記事とか書いていたのよね」
「それは今も同じだからな」
「色々と言われてるね」
「連中はな、他人には厳しいが」
 しかしとだ、英雄はさらに言った。
「自分にはだ」
「徹底的に甘いね」
「何故か我が国でそうした話をする奴はそうした奴が多い」
「不思議なことにね」
「他人は駄目だが」
「自分達はいいってことね」
「そうした奴を見ると胡散臭く思う」 
 その様にというのだ。
「どうしてもな、だが」
「それでも賄賂は駄目だね」
「それはな、礼儀ならいいが」
 しかしというのだ。
「見返りを求めるなということだ」
「そういうことだね」
「貰うものは貰ってもだ」
「問題はそれで見返りを求めるか」
「そこが大事だ、付け届けは礼儀だ」
 それに過ぎないというのだ。
「あくまでな」
「それで見返りを求めたら賄賂になるね」
「それは駄目となる」
「そういうことだね」
「ましてや金を貰ってだ」
 英雄は再び自分達が起きた世界の話をした。
「もてなしを受けてだ」
「それで提灯記事を書くのはね」
「失格だ」
「特にそれで実害が出たらね」
「深刻な話だ」
 そうなるとだ、英雄は言った。
「その時はな」
「帰国事業がそうでしたね」
 紅葉は英雄の話を受けてこちらの話を出した。
「先程出ましたが」
「多くの提灯記事や嘘の宣伝が出た」
「マスコミや政治家から」
「そして多くの人が北朝鮮に渡った」
「地上の楽園と聞いて」
「そして地獄に行ったが」
 しかしというのだ。
「誰も生きて帰っては来なかった」
「そうでしたね」
「これは外道の所業だ」
「死んで地獄に落ちますね」
「そうした話だ、だが」
 それでもとだ、英雄は言った。
「このことで誰一人として責任は取っていない」
「反省の弁もなかったですね」
「そしてその連中は拉致についてもだ」
 北朝鮮が行っていたこの悪事についてもだったのだ。
「否定していた」
「そして解決が遅れましたね」
「そして今も同じ様なことを繰り返している」
「だからですね」
「こうした話は許すつもりはない」
 英雄は言い切った。
「俺はな」
「付け届けはいいですが」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「賄賂は許さない、それ以上にだ」
「こうした悪事は」
「賄賂以前の問題だ、詐欺と言っていい」
「地上の楽園と言って行かせた先は地獄だった」
「そして多くの人が死んだ」
 このことは日本の昭和の歴史にはっきりとある、言うまでもなく悪辣な話としてそこに残されている。 
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