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レーヴァティン

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第百九十八話 下野と常陸その八

「付け届けは普通にあったとよ」
「幕府の間でもな」
「だから柳沢さんや田沼さんの賄賂の話は」
 柳沢吉保そして田沼意次のことだ、二人共江戸時代の汚職や賄賂の話ではよく引き合いに出されている。
「その実はたい」
「賄賂ではなくな」
「それだったとよ」
 付け届けだったというのだ。
「その実は」
「そうだったな」
「二人共実はたい」 
 柳沢吉保も田沼意次もというのだ。
「賄賂はほぼたい」
「受け取っていない」
「能力重視で人も用いていたとよ」
 そもそも二人共低い身分から能力を見出されて世に出て来ている。
「それではたい」
「賄賂を受けて人を用いるなぞな」
「しなかったたい」
「そうだったな」
「付け届けは一見たい」
「賄賂と見分けがつかないが」
 それがとだ、英雄も言った。
「それはな」
「付け届けだったとよ」
「そういうことだ、だから付け届けはな」
 それはというと。
「別にだ」
「止めないで」
「やっていく」
「そういうことやな」
「それも風習で特に悪いともな」
「思わないたいな」
「俺としてはな」
 英雄の言葉は揺るがないものだった。
「だからだ」
「賄賂との線引きが難しいのは事実だね」
 桜子はこのことをはっきりと指摘した。
「やっぱり」
「それはそうだな」
「そこが問題だね」
「そうだ、だが俺が思うには現代の方がな」
「神経質って言うんだね」
「ある程度の交流は人の世にありだ」
 そしてというのだ。
「その中でな」
「付け届けもだね」
「あるということだ」
「それでいいっていうんだね」
「だからだ」
「それはいいんだね」
「そう思う、そして俺達の起きている世界で賄賂だの騒ぐ人間は」
 英雄の少し怒った声になって言った。
「その実はな」
「自分達の方が腐ってるね」
「マスコミだの野党だのはな」
「それはそうね」
 桜子もそうだと頷いた。
「日本ではね」
「マスコミや野党が騒ぐがな」
「その連中こそね」
「賄賂や接待だのな」
「ズブズブね」
「自分達が批判している相手よりさらにな」
 批判を攻撃もっと言えば誹謗中傷と言うべきか。日本でのマスコミや野党の質はそこまで酷いというのだ。
「賄賂を受け取りだ」
「接待もね」
「酷いものだ、北朝鮮から金を受けるなぞだ」
 それこそというのだ。
「論外だ」
「日本の中の話よりもね」
「あの国に接待を受けて」
 これは実際にあったことだ。 
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