芸術とガラクタ
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第一章
芸術とガラクタ
伊藤五十八は才気煥発な少女だ、身体は一四七程で小柄で茶色の長い髪の毛をかなり無造作にまとめている。
目は大きく勝気な感じで眉は細く長い。薄いピンクの唇はいつも自信あり気な笑みを浮かべていて色白で顎が少し尖った顔の形で耳は大きめだ。鼻は高めである。わりかし胸はあるが小柄な為幼児体型にも見える。服装は制服でもアレンジしていてアバンギャルドな感じだ。
そのファッションから察せられる様に芸術にセンスがあり通っている高校では美術部に所属している。だが。
今は書道をしている、自分より大きな筆を身体全体で使って巨大な和紙に一気に文字を書いてそれが終わってから書道部の部員達に尋ねた。
「いいでしょ」
「ああ、凄いわね」
「まさかいきなり書くなんてね」
「五十八ちゃん書道のセンスもあるって思ったけれど」
「プロ顔負けじゃない」
「もうね、こうしたものはね」
五十八は笑って言った、書道なので今は着物と袴姿だが襷は紅で鉢巻は江戸紫でかなり目立つものである。
「迷わず、考えないでね」
「センスの赴くままなのね」
「思ったままにやる」
「それも一気に」
「そう、止まらないで」
それでというのだ。
「やったらいいのよ」
「それでなのね」
「今も一気にやったのね」
「思いつくままに」
「書道は本格的にしたのはじめてだけれど」
小学校の授業でした位だ、あと中学校でもだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「いきなりそうしたのね」
「巨大な筆で」
「もう一気に書いたのね」
「そうなの、今回の文化祭で何か書いてって誘われて」
はじまりはそれであったのだ。
「何か書こうと思ったらね」
「こうしようって思って」
「それでなのね」
「書いたのね」
「丁度あったしね」
巨大な筆も和紙もだ。
「それでなのよ」
「思いついたにしてもね」
「実行したのは凄いわね」
「それも一気に動いてだったから」
「とんでもないセンスと行動力ね」
「私思いついたら」
そうしたらというのだ。
「身体が自然に動くから」
「それでなのね」
「今回も書いて」
「美術の方もなのね」
「そうしてやっていってるのね」
「そうなの」
実際にというのだ。
「私はね」
「成程ね」
「じゃあ美術の方も頑張ってね」
「そっちもね」
「本来の部活も」
「そうしてくるわ」
五十八は書道部の部員達に笑顔で応えた、そしてそちらでもだった。
文化祭に出す絵を描いた、キャンバスに向かって凄まじい勢いで描いていく。そして描いた後でだった。
その絵を観て笑って言った、顔も手も前掛けも絵の具だらけだ。
「完成よ」
「格闘みたいな描き方だったわね」
「物凄い勢いで描いていたわね」
「思うままに」
「ええ、もう止まることはね」
それはというのだ。
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