保健所にいた時
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第一章
保健所にいた時
国崎洋介が勤めているラーメン屋には彼が飼っている犬のふわりの前の飼い主夫婦の夫の会社の同僚もよく来る、この日もそうだった。
その彼に夫のことをよく聞くが。
「奥さんのインスタ閉鎖しないといけなくなったってな」
「怒ってましたか」
「あいつもな、何で皆荒らすんだってな」
「あの、普通誰でも怒りますよ」
洋介はカウンターの中からカウンターの席にいる彼に返した、彼は今は豚骨ラーメンを食べている。
「インスタにも載せて可愛がっていた犬を五月蠅いとか言って捨てるとか」
「何だって思うな」
「鬼かって」
「犬はおもちゃじゃないぞってな」
「書き込みしていた人達もふわり可愛がられてるの見て喜んでたんですよね」
「それでいつも観ていたんだよ」
夫婦の妻の方のインスタグラムをというのだ。
「それが子供生まれたらな」
「赤ちゃんばかりで、ですね」
「それであの娘は急に出なくなってな」
そのふわりはというのだ。
「どうしたってある人が聞いたらな」
「朝から晩まで吠えて五月蠅いからですね」
「保健所にポイ、じゃな」
「普通に皆怒りますね」
「命を何だと思ってるんだってな」
「それで炎上してですか」
「インスタ閉鎖したってな」
そうなってというのだ。
「あいつも怒ってたよ」
「自業自得ですよね」
「それがわからない位馬鹿で無神経なんだよ」
「二人共怒ってるんですね」
「会社でも言ってたさ、俺達も話は聞いてやったがな」
それでもとだ、彼はラーメンを美味いと思いながらも怒った顔で話した。
「内心じゃな」
「そう思ってましたね」
「自業自得だってな」
「そうでしたね」
「それでな」
「ええ、内心じゃですね」
「あいつを余計を嫌いになったよ」
こう洋介に話した。
「だから宴会とかにも絶対に誘ってないし必要なこと以外は話もしないしな」
「シカトですね」
「そうしてるけどあいつは気付いてないんだよ」
「無神経なんですね」
「だから可愛がってた犬も捨てたんだよ」
そうしたというのだ。
「平気でな」
「そんな連中だからですね」
「それでな、保健所の様子がネット動画で出てたけれどな」
彼はここでスマートフォンを出した、それで洋介にそれを見せた。
そこには小さな犬がいた、茶色の毛のトイプードルそれもティーカップサイズ位の犬だった。その犬を見て。
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