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戦国異伝供書

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第百二十九話 灰からはぐれた者達へその五

 考えまずは天下の星を見た、すると。
「尾張にとてつもない将星が出ました」
「あの国にか」
「青く輝く」
「青か」
「はい、青といえば織田家ですな」
「左様であるな」
「その織田家にです」
「とてつもなく大きな将星が出るか」
「天下を輝かせる、そして」
「さらにか」
「妙な妖星も見付けました」
 これもというのだ。
「古く鈍い光を放った星ですが」
「その星がか」
「どうもです」
 師に剣呑な目で話した。
「この天下にです」
「害をであるか」
「及ぼしている様です」
「左様であるか」
「どうにも」
 こう話した。
「そして天下の気も見ましたが」
「そこでもか」
「尾張にかなりの気が宿り」
 そしてというのだ。
「尾張程ではないですが甲斐、越後、相模、三河、土佐、近江、安芸、奥州、薩摩と」
「気がか」
「摂津にも、そして闇も」
「その気もか」
「天下にまばらにですが」
「あるか」
「はい、それもどうもです」
 居士はさらに言った。
「古いです」
「闇はか」
「本朝に古来よりです」
「古来、そういえばな」
 師はその言葉を聞いて言った。
「本朝にはまつろわぬ者達もいたな」
「はい」 
 すぐにだ、居士は答えた。
「本朝が成り立つ時に」
「多くのそうした者達がいてな」
「朝廷に制されています」
「そうであった、多くの者は降ったが」
「そうでない者達がですか」
「その闇か」
「だとすると」
 それならとだ、居士はすぐに言った。
「その者達は今の戦国の世も」
「長く続くことをな」
「望んでいますか」
「それで動いておるやもな」
「本朝の戦乱もこれまでありましたが」
 居士は言った。
「若しや」
「それにもな」
「関わって来たこともですか」
「有り得る、その織田家のじゃ」
「将星の方が天下を制されて」
「それで天下にじゃ」
「泰平をもたらされるなら」
 それならという返事だった。
「織田殿のお力になりたいですが」
「そうじゃな、しかしお主は妖術使い」
「表に出るものではないですな」
「左様、だからな」
「それがし自身が出るのではなく」
「お主は忍術を教えられるな」
「はい、そちらも」
 確かな返事だった。 
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