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おっちょこちょいのかよちゃん

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135 混沌たる異世界への出陣

 
前書き
《前回》
 大将なのかどうか決闘を始める杉山と三河口。その様を一部見たブー太郎はかよ子に報せ、二人は決闘現場となっている秘密基地へと急ぐ。三河口に敗北した杉山は自身は大将ではなく臆病者だと告げられると共に、必ず異世界の戦いに参加するように促される。そしてすみ子達隣町の友達も訪れた中、三河口はその場を去り、かよ子達は基地に上がって清水の街を展望するのであった!!

 次回よりあの異世界が舞台となります!今まで以上の激しい戦闘が待っていると思いますが、かよちゃん達の活躍を期待してください!!そして「あの人」が再登場するかも!? 

 
 三河口は居候中の家に帰宅した。
「只今帰りました」
「お帰り。どこ行ってたん?」
「かよちゃんの友達を説得しに行っていました」
「もしかして杉山君って子?」
「はい、かよちゃんの異世界に行くのかと言う質問にはっきりと答えないんで、必ず来いと言ってきました」
「そうなん?」
「後は杉山君次第ですが・・・」

 かよ子は基地から見える清水の街の景色を見た後、日が暮れた為に帰る事にした。
「それじゃ、俺達も帰るか」
「うん・・・、じゃあね・・・」
 かよ子達はすみ子達隣町の子と別れた。そして、杉山にブー太郎と一緒に帰る。
「杉山君・・・。オイラ、杉山君に来て欲しいブー。一緒に戦って欲しいブー!」
 ブー太郎は切実に願った。
「ああ・・・」
「そうだよ、あのお兄ちゃんも本当は心配なんだよ。今の杉山君が心配で・・・、私も杉山君が来てくれないと元の日常が取り戻せないかもしれないし・・・」
 かよ子は泣きそうになりながら言った。
「解ったよ。行ってやるから泣くな」
「うん・・・」
 しかし、杉山は考える。今の自分に何ができるのか。そしてその答えは今出なくても向こうに行って解るのか・・・。
(俺にしかできない日常の取り戻し方・・・)

 そして来たる一月二十日は訪れた。

 名古屋にある熱田神宮。護符の所有者である羽柴さりはその境内にいた。
(この神社が名古屋一の神社みたいだけど・・・)
 その時、一人の「神」が現れた。
「貴女ですね、護符の所有者たる者は?」
「はい」
「私は熱田大神(あつたのおおかみ)。例の物は用意してありますね?」
「はい、こちらに」
 さりは護符と例の手紙を差し出した。
「宜しい。あの世界へお連れ致しましょう。ただし、貴女にとっても過酷な大戦(おおいくさ)となるでしょう。命を落とすと元の世界に帰れませんよ」
「はい、覚悟しています」
「それでは」
 熱田大神は剣を出した。そしてその剣を一振りする。黒い穴のような物体が出現した。
「この穴を潜りなさい。そうすればあの世へ迎えます」
「はい」
「では、御武運を」
 さりは穴に入って行った。

 北海道札幌市に住む煮雪ありとその夫・悠一は市内にある円山公園に来ていた。ここには北海道神宮がある所なのだが、秋に火災で消失していた(東アジア反日武装戦線の仕業とする説が深いが真偽は定かではない)。なぜここに来たか、ここにはシャクシャインの案によるものである。
「二人共、待っておった」
 シャクシャインが現れた。
「シャクシャイン・・・。でも、この神社は火事で焼かれたのよ。ここで本当に大丈夫なの?」
「心配には及ばん。ここの(カムイ)は今でもここにいる」
 その場に三人の祭神が現れた。
「私は大国魂神(おおくにたまのかみ)。こちらは大那牟遅神(おおなむちのかみ)少彦名神(すくなひこなのかみ)。貴方方の事はシャクシャインから聞いておりますぞ。それでは御両人をあの世界へとお連れ致そう。かなり命を懸けた戦いになるが、覚悟はできていますかな?」
「はい」
 二人は肯定した。
「では、二人共、始めるぞ」
「はい」
 大国魂神は大那牟遅神と少彦名神と共に大麻(おおぬさ)を出し、地面に突き立てた。その瞬間、地面に光が現れた。
「この中に入れば『向こうの世界』に行けます。では、健闘をお祈りいたしますぞ」
「はい、あり、行こう」
「ええ」
 二人は光の中へ入って行った。

 兵庫県神戸市。祝津ゆりと彼女の隣人の女子高生・鷺森光江が湊川神社の境内にいた。ゆりは主人に別れの言葉を告げる。
「それじゃ、行ってくるわ」
「ああ、必ず帰ってくる信じとるさかいな」
 その時、一人の人物が現れた。
「お主らか、大戦(おおいくさ)に向かう者とやらは」
「はい」
「拙者は楠木正成なり。智・仁・勇の心を忘れずに(いくさ)に臨むが良い」
 正成は刀を振り下ろす。大きな風の渦が出現した。
「飛び込むのだ、そこに『向こうの世』はある」
「はい、行こう、光江ちゃん」
「はい」
 ゆりと光江は渦の中に入り、そして消えた。正成はゆりの旦那を見る。
「お主、妻とあの女子(おなご)の無事を祈り続けよ。きっと勝利を掴んでくれるであろう」
「はい、俺も信じます」

 広島県廿日市市の厳島神社。スケバン女子高校生・鯉沢輝愛はその場にいた。また、見知らぬ人物が三名ほどいた。
(この人達も異能の能力(ちから)や武器を持っとるんか?)
 その場に三人の女神が現れた。
「本日はようこそお越しいただきました。私は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、そしてこちらは田心姫命(たごりひめのみこと)湍津姫命(たぎつひめのみこと)でございます。貴女達が元の日常を取り戻す為の大戦(おおいくさ)に参加される方ですね?」
「はい」
「それでは皆様をあの世へいざないましょう」
 近くの海水が渦のようになり、トンネルの入り口のようになった。
「この隧道を通ってください。そうすれば平和を司る世界に辿り着きます」
「ありがとう」
 選ばれし者達が海水のトンネルを潜って行く。鯉沢はある道具を持っていた。
(この銃で奴等をゲテ物にしたるわ・・・)

 東京都大田区にある磐井神社。そこに異世界の杯の所持者・安藤りえは両親と友達のみゆきに鈴音と共にいた。そこに応神天皇という一人の祭神が現れる。
「ようこそ、杯の所持者、安藤りえ。そしてその母君、そして溝口みゆき、藤沢鈴音。これから大戦が待っておる。命に関わる恐れもあるが、覚悟はあるか?」
「はい!」
「よかろう。では、その道を開く」
 応神天皇は手を出すと、近くに大きな黒い穴が現れた。
「この穴の中に入れば平和を司る世界に行く事ができる。行くがよい」
「はい。みゆきちゃん、鈴音ちゃん、行こう」
「うん」
 りえ達は穴に入り、平和を司る世界を目指した。

 そして静岡県清水市にある御穂神社。異世界の杖の所持者・山田かよ子は両親、隣のおばさん、三河口、まる子、大野、杉山、冬田、ブー太郎、長山、そして隣町の学校の山口、川村、ヤス太郎、すみ子、そしてすみ子の兄の濃藤、北勢田、奏子、まる子の姉、杉山の姉がいた。杉山は大野とは距離を置いていた。
(杉山君・・・)
 かよ子は杉山が来てくれたと安心すると同時に大野との仲直りができていない事に不安も感じていた。
「皆さん、よくお集りになりましたね」
 三穂津姫が現れた。
「これから大いなる戦いが待っております。貴方達の日常を取り戻す為の大事な(いくさ)。覚悟は宜しいですか?」
「はい!」
 かよ子は答えた。
「それではお通しいたしましょう」
 拝殿から蒼色の穴が現れた。
「こちらがこの世界と平和を司る世界の通り道となっております。ご武運を願っております」
「はい、ありがとうございます」
 かよ子達は穴に入っていく。
(絶対に元の日常を取り戻す・・・!!そして杉山君と大野君を仲直りさせる・・・!!)
 かよ子は二つの課題を自覚し、異世界へと赴く。杖を最大限利用する為に道具はある程度用意した。異世界までおっちょこちょいなどする訳にはいかない。

 各地の神社にて多くの者達が異世界での戦いに参戦していった。

 そして大きな大きな(いくさ)が幕を開ける。 
 

 
後書き
次回は・・・
「政府、命懸けの取引」
 かよ子達が異世界へ旅立つ時と同じ頃、首相は赤軍と顔を合わせていた。首相は赤軍の要求を呑まない為にもある作戦を成功しようとする。そして3年4組のクラスは出席者が大幅に減って寂しくなっていた・・・。 
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