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ドリトル先生と不思議な蛸

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第六幕その三

「しっかりとです」
「対策が講じられますね」
「はい、勿論あの蛸を害することなく」
 そのうえでというのです。
「進められますので」
「駆除等はですね」
「されないです、駆除をしますと」
 危険と言ってです。
「それはそれで、です」
「生態系に影響が出ますので」
「出来る限りです」
「しない方がいいですね」
「今はそうした考えが主流ですね」
「そしてそれが正しいです」
 先生もこう答えました。
「例えば狼が家畜を襲う害獣だからです」
「駆除をするとですね」
「狼がいなくなれば」
「狼がいる森の生態系が乱れて」
「森の自然が荒れたりします」
「日本で実際にそうなっていますね」
「そうです、狼がいないと」
 森の食物連鎖の中で肉食動物になるこの生きものがです。
「創小動物が増え過ぎて」
「森の植物や木の皮を食べ過ぎて」
「森がかえって荒れます」
「そして畑にも出て」
「獣害も引き起こすので」
 それでというのです。
「あまりにもです」
「危険ですね」
「ですから」
「生きものが危険と言って駆除することは」
「よくないです」
「生態系に影響が出かねないので」
「ですから」
 それでというのです。
「ここはです」
「駆除はしない」
「注意喚起で近寄らない方にする」
「それが一番いいですね」
 こうお話してでした。
 先生は水族館の人とその蛸についても鳥羽の海の環境についてもさらにお話しました、その後で事務室でも一緒だった動物の皆とです。
 夫婦岩を見ました、それから鳥羽に戻ってまた鳥羽の海の調査をする予定ですが先生は皆にお話しました。その二つの岩の前で。
「危険な蛸でもね」
「駆除をしたらいけない」
「先生そうお話していたね」
 オシツオサレツが答えました。
「そうだったね」
「確かにね」
「確かに狼や熊や虎もいないとね」
 ジップも言います。
「生態系に影響が出るね」
「それは蛸も同じで」
 今度はホワイティが言いました。
「変に駆除したらよくないんだね」
「どんな危険な生物でもそこにいる意味がある」 
 こう言ったのはダブダブでした。
「そういうことね」
「それに同じ命だよ」
「そうそう」
 チープサイドの家族もお話しました。
「だったらね」
「その命も大事にしないとね」
「命を粗末にするなんて」
 こう言ったのはトートーでした。
「前に先生が王子とお話していた酷い飼い主と同じだよ」
「あんな人達みたいになったらね」
 それこそとです、チーチーは言いました。
「こんな残念なことはないよ」
「そう思ったらね」
 老馬も言います。
「危険な蛸でも命を大事にしないと」
「命を大事にするなら」
 それならとです、ガブガブも言いました。
「その蛸もってことだね」
「そうね、餓鬼になったら」
 ポリネシアの口調はしみじみとしたものでした。
「どうしようもないわ」
「そうだよ、危険な蛸も生態系の中にあってね」
 先生も皆に言いました。
「それに僕達と同じ命だよ」
「そうだよね」
「そう思うならね」
「本当に気をつけないとね」
「だから危険だからすぐに駆除はね」
「よくないよ」
「そうだよ」
 先生は皆にその通りだと答えました。
「本当にね」
「その通りだね」
「先生はそうしたこともわかっているね」
「しっかりした人だから」
「本当にね」
「うん、じゃあ鳥羽に戻ったら」
 その時はというのです。 
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