麗しのヴァンパイア
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第三百二十七話
第三百二十七話 月光欲
カーミラは風呂の用意を言いながら夕食を食べた、夕食はマトンをメインとしたフルコースでその後で風呂に入ったが。
窓から見える三日月を横目に使い魔達に話した。
「月の光はいいわね」
「はい、まことに」
「実に優しい光です」
「あの光を見ていますと」
「自然と幻想的な気持ちになります」
「それが月の光の魅力よ」
カーミラは湯舟の中から言った、見れば湯舟は薔薇の色になっている。
「太陽の光はあまりに強くて」
「はい、眩し過ぎます」
「その眩しさがいけません」
「特に我々夜の者には」
「とてもね、けれどね」
月の光はというのだ。
「優しいわ、その光が邪というのは」
「誤りですね」
「まともね」
「左様ですね」
「この光を浴びないとです」
「心は癒されません」
「私は日の光は否定しないわ」
太陽のそれはというのだ。
「決してね」
「夕陽はお好きですし」
「朝日を見てお休みになられるのもお好きですね」
「ですがやはり」
「ご主人様は」
「月よ」
この光だというのだ。
「何といってもね」
「そしてその光を浴びつつ」
「湯舟に入り身体を清める」
「そうされるのがお好きですね」
「ご主人様としては」
「お風呂は夜に限るわ」
その時にこそというのだ。
「日のある時に入ってもね」
「月の光を浴びれない」
「そちらを楽しめない」
「だからですね」
「夜がいいわ、では身体も洗ったし」
それも隅から隅までだ。
「もう少しお湯と月の光を浴びた後は」
「はい、髪の毛を洗われ」
「そして身体を拭かれ」
「香水も付けられて」
「そして夜の散策に出るわ」
日課のそれに出るというのだ。こうしたことを話しつつカーミラは湯舟と月の光の両方を楽しんでいた。
第三百二十七話 完
2020・12・25
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