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麗しのヴァンパイア

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第三百二十六話

               第三百二十六話  勝負を前にして
 勝負を行うことは決まった、カーミラはそれを受けて使い魔達に勝負の準備を命じたがその後でだった。
 夕焼けを見てこう言った、
「太陽は夕陽ね」
「ですね、ご主人様は」
「太陽の光自体は平気でも」
「やはり苦手ですね」
「だから夕陽ですね」
「好きなものは」
「ええ、夏のお昼の日差しはね」 
 それはというと。
「やはりね」
「お好きではないですね」
「そして苦手ですね」
「それで焼けることはないにしても」
「そうした方ですね」
「お昼にしか動けない吸血鬼はいるわ」
 そうした種族も存在するのだ。
「夜は寝ているね」
「そこはそれぞれですね」
「どうしても」
「種族の違いがありますので」
「その為に」
「だからね」
 その為にというのだ。
「お昼でないと、太陽の下にいないとね」
「動けない方もおられます」
「それは事実ですね」
「ですがご主人様は」
「そうした種族の方ではないので」
「だからね」 
 その為にというのだ。
「強い日差しは苦手よ」
「左様ですね」
「だから夕陽ですね」
「そして太陽よりも月ですね」
「お好きなものは」
「月は癒しを与えてくれるものよ」 
 カーミラは月については微笑んで話した。
「見ていてそうね」
「はい、穏やかな光で」
「それで人々を癒してくれますし」
「我々もで」
「ご主人様も」
「そうよ、月を嫌う者は癒しを嫌う者」
 カーミラはこうも言った。
「そう言っていいわ」
「キリスト教では嫌っていましたが」
「魔性のものと」
「ですがそれはですね」
「違いますね」
「そうよ、月の優しい光で癒されることは無上の幸せよ」
 こう言ってだった、カーミラは夕食と風呂の用意もさせた。夜に風呂に入ってそちらも楽しむつもりであるのだ。月の夜に楽しむつもりであった。


第三百二十六話   完


                 2020・12・20 
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