律儀に
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第五章
「していこう」
「それじゃあ」
二人でこう話してそうしてだった。
スパゲティを食べてからカラオケボックスに入って歌った、沙織はそれぞれの曲をただ歌うだけでなく振り付けも行っていた、それでだった。
八幡は一曲歌い終えた沙織に言った。
「振り付けも練習しているんだな」
「そうだ」
沙織はその通りだと答えた。
「こちらもな」
「それもな」
「しっかりしているか」
「それで律儀だな」
まさにというのだ。
「本当にな」
「そうか」
「何でも律儀だな、約束は守るし時間も遅れないし」
「約束を守っているか」
「ああ、デートとか仕事とか絶対にすっぽかさないだろ」
「それは常識だと思うが」
「その常識がな」
沙織が言うそれがというのだ。
「出来てない、しようとしない奴がな」
「いてか」
「ああ」
そしてというのだ。
「それでな」
「私を律儀と言うか」
「金のこともしっかりしているしな」
沙織はいつも割り勘である、八幡にだけ支払わせることはしない。
「そのこともな」
「当然だと思うが」
「その当然がな」
これもというのだ。
「出来てない、しようとしない奴がな」
「いるからか」
「だからな」
「今そう言うか」
「ああ、そこまで律儀でいいのかよ」
「何か悪いことがあるか」
「ハメを外したくもなるだろ」
八幡はカラオケボックスの一室の中のソファーに座って自分の曲を入力しつつ沙織に話した、目はクールなものだった。
「時々」
「その時は夜飲む」
「酒をか」
「まだ未成年だからジュースだ」
飲むのはそちらだというのだ。
「カルピスなり林檎ジュースをな」
「飲んでか」
「そしてだ」
その様にしてというのだ。
「お菓子も食べてだ」
「ストレス解消しているんだな」
「そうだ」
その様にしているというのだ。
「私はな」
「太るなよ」
「その後でカロリーを消費している」
「そっちもしてるか」
「そうだ、運動でな」
「そっちも律儀だな」
八幡は思わず笑って述べた。
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