猛烈なアタックで
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第二章
遂にだ、こう言った。
「飼うわ」
「じゃあお家に連れて行くわね」
「ええ、そしてね」
それでというのだ。
「病院にも連れて行って」
「名前もつけてあげて」
「飼うわ」
「それじゃあね」
こう言ってだった。
すみれはその猫を抱え上げた、そうしてだった。
猫を家まで連れて帰った、すぐにご飯をあげて。
トイレの仕方やする場所それに爪を研ぐを教えた、そして先住している猫達も教えた。
「白い子が雄でシロよ」
「ニャア」
「虎毛の子が雄でトラよ」
「ナア」
「三毛猫の子が雌でミケよ」
「ニャアン」
三匹の猫達もそれぞれ名乗る様に名乗った、そして。
新しく来た猫はその日から三匹に馴染んだ、見れば子猫は雌で。
教えた通りjにトイレをして爪を研いだ、すみれはそれを見て言った。
「キャットフードも食べるし」
「トイレもちゃんとするしな」
一メートル九十ある父が言ってきた、名前を哲章という。黒の角刈りで日本人だが彫のある顔だ。身体はレスラーらしく実に逞しい。
「前に誰かに飼われていたか?」
「捨て猫?首輪ないし」
「それはわからないがな」
「けれど私が教えたらね」
「すぐにトイレもそこでしたしな」
「ええ、それに私に凄く懐いてるし」
それでというのだ。
「不思議な娘ね」
「だから猫もわかってるんでしょ」
母が言ってきた。
「あんたが猫好きで大事にするって」
「だからもう懐いてなの」
「そうしてよ」
それでというのだ。
「あんたの言うこともね」
「聞くのね」
「そうでしょうね」
「そうなのね。じゃあこの娘の名前チコにするわ」
自分の足下にいて他の猫達と共にじゃれついている彼女を見て言った。
「それで明日ね」
「病院に」
「そちらに連れて行くわ」
こう話してだった。
すみれは実際にチコを病院に連れて行った、幸い異常はなくそのまま家に戻れた。そして先住の猫達と共にだった。
すみれが家に帰るといつも一緒にいる様になった、両親はそんなチコを見て夕食の時に娘に話した。
「俺達にも懐いてくれてるけれどな」
「すみれにはずっとだからね」
「それを見るとな」
「あんた凄く猫に好かれるのね」
「私が兎に角猫好きだから」
すみれ自身も言った。
「それでなのね」
「自分が好きなら相手も好きになるのよ」
母は笑顔で話した。
「それは猫も同じでね」
「だからなのね」
「チコもあんたならと思って来てね」
「今お家にいるのね」
「そうよ、それでこれからもよね」
「ええ、私も嬉しいから」
すみれは母ににこりと笑って答えた。
「一緒にいるわ」
「そうよね」
「チコ達と一緒にね」
「ニャ~~~」
チコ達はこの時もすみれの傍にいた、足下にいてそうして彼女の足にじゃれついていた。そしてそこで嬉しそうに鳴いた。すみれはその猫達を見て尚更笑顔になった。
猛烈なアタックで 完
2021・2・20
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