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戦国異伝供書

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第百二十五話 誘い出しその三

「わしもじゃ」
「絆を深める」
「その様にされていますな」
「進軍中でも」
「そうしていますな」
「そうじゃ、それでじゃ」 
 そのうえでというのだ。
「沖田畷でな」
「そこで、ですな」
「戦いますな」
「そうする、それと龍造寺家であるが」
 敵である彼等の話もした。
「ゆっくりと進んでいる様じゃな」
「我等の動きを見極めんとしています」
「一体何処に行くのか」
「そしてその我等が布陣した場所にです」
「向かうつもりの様です」
「やはりそう来るか、龍造寺殿は敵がおられるなら必ず戦われる」 
 それが隆信の気質だというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「我等が沖田畷に入れば」
「龍造寺殿は来られますな」
「必ず」
「そうなる」
 間違いなくというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「我等はですな」
「沖田畷に入ればよいですな」
「そうすれば」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「有馬殿の軍勢と共にな」
「そしてですか」
「最後まで一丸となり」
「そのうえで沖田畷に入るのですな」
「まずは」
「そうじゃ、そしてあの地に入ると」
 その沖田畷にというのだ。
「すぐに布陣を整え」
「そうしてですな」
「龍造寺家の軍勢を待つ」
「そうしますな」
「確かに我等は数が少ない」
 義久はこのことを誰よりもよく自覚していた、軍勢の総大将だけあってそうでありわかっているのである。
「しかしな」
「兵達は皆一騎当千の者ばかり」
「そしてですな」
「地の利もある」
「それが大きい、それにな」 
 義久はさらに言った。
「占わせたが」
「この度の戦について」
「占わせましたか」
「そうされましたか」
「そうするとな」 
 その占いの結果も話した。
「我等の勝ちと出た」
「天の時も得ましたか」
「地の利に続いて」
「そうなのですな」
「後は人の和じゃ」 
 それだけだというのだ。
「それは有馬家と一丸であることじゃ」
「ですな、我等がそうであれば」
「それで、ですな」
「人の和も備わりますな」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。
「この度はじゃ」
「天の時と地の利がある」
「そして人の和を守る」
「そうすれば三つが揃い」
「兵は比べものにならぬ位に少ないが」
 しかしというのだ。 
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