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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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未来の息子

<ジパング>

ヤマタノオロチとの戦いは激闘だった!
アルル達は何度もヤマタノオロチの攻撃に傷付きながらも、一つずつヤマタノオロチの頭を潰して行き、ついにはヤマタノオロチを倒したのだ!
後方でリュカとティミーが回復魔法を唱えてくれなかったら、きっと全滅していただろう…
彼等が後ろで控えてくれてたから、全力以上の力を出す事が出来たのだろう。
そんな思いが心を満たし、アルルは思わずティミーに抱き付きキスをする。

「わぉ!お兄様達はラブラブですのね…私も負けてられませんわ!ウルフ様ー、私とイチャイチャラブラブしましょうよー!」
マリーの声に我に返るアルル。
人前でとんでもない事をした自分に恥ずかしくなり、ティミーから離れて俯き黙る。
しかし、そんなアルルを見てティミーは彼女を抱き締め、彼の方からキスをした。
ティミーの大胆な行動に驚くも、嬉しさが心を満たしアルルの瞳を潤ませる。
だがアルルは知らない…
この行動はリュカに促されての事と言うのを…
次回からは、ティミー自ら行動出来るよう、願いたい物だ。

ヤマタノオロチが消滅した跡に、紫の宝玉が落ちている。
「お父様…あれ…」
「こりゃ~パープルオーブだ…やっぱりジパングの女王、ヒミコが持ってたんだな。きっと本物のヒミコはヤマタノオロチに………」
カンダタがオーブを拾い、感慨に耽る…


ともかくもヤマタノオロチの驚異はジパングより去った…
その事は即日ジパング中に知れ渡り、人々を安堵させる事となる。
しかし、女王ヒミコはヤマタノオロチであった事実も、瞬く間に国中に広がり、国民に悲しみと怒りの涙を流させる。



そして翌日

「…さて、これからが大変ですね。女王様が居なくなっちゃいましたからね」
アルルはタケルに向け、同情めいた呟きをする。
女王だけではない、戦闘に巻き込まれて主だった高官も死亡したのだ…ジパングの再建はかなりの苦労を伴う事となるだろう。
「仕方ありません…でも必ず、ジパングを再建させてみせます!その時は遊びに来て下さい」
「えぇ、必ず!」
アルルは笑顔で答え、手を差し出し握手を求めた。
タケルも頷くと、力強く握手をする。

「あと、これを使って下さい」
タケルは自らの腰に下げてあった剣を、アルルに渡す。
「これは『草薙の剣』です。結構由緒ある武器なんですよ!世界の平和の為に使って下さい。………この国に残る俺には無用ですから」
最初は遠慮したのだが、彼の気持ちを汲みアルルはありがたく『草薙の剣』をもらい受けた。
代わりに今まで使っていた『鋼の剣』を置いて行こうとしたのだが…
「あ、アルル!その『鋼の剣』はウルフに使わせてやってよ!」
急にリュカがウルフに剣を持たせようとする。
「え!?俺に?…い、いや俺剣術は…」
「使え!お前には今後、僕の娘を守ってもらわねばならないんだからな!魔法だけじゃ、接近されたらアウトだ…ある程度両立してもらわないと困る」
無理矢理鋼の剣を渡されたウルフは、困り果て泣きそうだ…

「それともナニ?お前はマリーを守る気が無いの?…好きか嫌いかじゃ無いぞ…最近お前はマリーの側に居る事が多い!そんな時に敵が現れても、お前はマリーを守らないつもりなのですか?」
正論ではあるが脅しに近いリュカの言葉…
「わ、分かったよ…俺もマリーちゃんは守りたいし、剣を携帯します。…勿論リュカさんが剣術を教えてくれるんだよね!」
「えぇぇぇ…めんどくさ~い!!」
「アナタの発言は矛盾してませんか!?」
「あはははは、ジョークよジョーク!勿論、僕が教えますよ…未来の継息子の為に!何だったら、もう『パパ』って呼んでくれても良いよ」
「考えておきます、リュカさん!!」
ウルフはリュカの名を強調して呼び、ささやかな抵抗を見せるが…
鋼の剣を腰に差した時点で、未来の妻が決定されたのだ…
男としては喜ぶべきの美少女なのだがねぇ…………


早速その日からリュカの稽古は始まった。
実の息子には剣術の稽古を、基本から教える事は無かった…
何せ出会ったときには、かなりの使い手に成長していたのだから、その必要も発生しない。
自分が父から剣術を教わった様に、彼も息子に剣術を基本から教えたいと思った事もあるのだ。
その希望が、まだ確定では無いにしろ未来の(義理の)息子で達成する事が出来る…
リュカは最高の幸せを味わいながら、ウルフに剣術を指南する。
それが分かるビアンカも嬉しそうだ。

魔法を専行してきたウルフにとって、基本とは言え剣術の練習は辛いらしく、1時間もやれば息が上がってしまう。
「う~ん…先ずは体力を付けないとなぁ…そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうよ。ねぇマリー」
「そんな事ありませんわ!1回1回が濃ければ、大満足ですわよ!」
「マリー!!そう言う下品な事は言ってはいけません!」
「何が下品なのですか?私に分かる様に、事細かに説明して下さいませ、お兄様♥…何だったら、実践して見せて頂いてもよろしいですわよ、アルル様と共に!」
誰が見てもリュカの娘である証拠のニヤケ顔…
「う…ぐっ………お、お前…段々、ポピーに似てきたぞ…」
「まぁ、本当ですか!?何て素敵なんでしょう、私ポピーお姉様に似てきましたわ!」
はしゃぐ妹を見て泣きそうに項垂れるティミー…
そっと肩に手を乗せ、黙って同情してくれるアルル…
もう彼の心の安らぎは、彼女(アルル)だけになったようだ。



厳しい稽古を終わらせて、タケルが手配してくれた宿屋でへばるウルフ。
少しだが寝てしまった様で、気が付くと辺りは暗くなっている。
そして側にはマリーが一人…冷たいタオルで顔を拭いてくれている…

「…あ!お目覚めになりました!?もっと寝ててもよろしいんですよ」
自分の顔を拭きながら、優しく微笑む彼女…
別に彼女を嫌った事など1度もない。
時折言動が突飛なだけで、リュカの娘なら当然なのだろう…

そんな彼女は間違いなく自分に好意を持っている…
その事実が彼女を愛おしくさせる。
気付けばウルフは、自らマリーを抱き寄せキスをしていた。
マリーもいきなりの事に驚いた物の、直ぐに腕をウルフの首に回して、キスを堪能する。
暗い室内で、二人の影は何時までも離れない…
どうやらティミーは義弟に先を越された様だ…



 
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