フォース・オブ・イマジナリー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Turn:29 ヒトミの試練
前書き
準決勝が迫る中ヒトミはある出会いをする
そして始まったチームホーリーブレインとの試合
驚きの展開がヒトミを待っていた
試合を控えベンチで大きくため息をこぼすヒトミ
「どうしたの?元気なさそうだけど」
そんな彼女に声をかけてきた眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の女性
ヒトミより少し年上くらいだろうか
Turn:29 ヒトミの試練
「なるほど、それで緊張しちゃってるんだ」
「まあ、もともと緊張しやすい性格なのは自覚してるんですけど」
「でも、気持ちわかるなぁ、私もこの大会に初めて出たときは緊張したなぁ」
女性が伸びをしながら告げた言葉にヒトミは首をかしげる
「貴女も………」
「ここまで勝ち進んだんだもの、自信をもって大丈夫よ」
「あ、ありがとうございます」
「さて、私もう行かなきゃ」
「あの!名前は………」
ヒトミの問いかけに女性は振り返って微笑んだ
「すぐにわかるわ、矢代ヒトミさん」
「えっ………どうして私の名前を………それにすぐわかるって?」
女性が立ち去ってからも呆然としていた
「いけない!私ももう行かなきゃ!」
「さあ、チームヴァラーギフト対チームホーリーブレイン、先鋒戦の開始です」
「ブレインはわかるけどツムギもナズナもホーリーって感じはしねーよな」
獰猛なたちかぜに闇に生きるむらくも
二人のクランは確かにホーリー(神聖)とは遠く感じてしまうかもしれないが
「いつもながらざっくりいうなぁ………」
「チームヴァラーギフトからは矢代ヒトミ選手」
「それじゃ、行ってくるね」
「矢代」
立ち上がったヒトミがヤイバに呼ばれ振り返る
「頑張れよ」
「………うん!」
コンソール前に立つヒトミ
胸に手を置き大きく息を吐く姿はすでに緊張を感じない
「そしてチームホーリーブレインは、チームリーダーの綾崎ヨシノ選手」
「(知らない人………そっか、3人一組なんだからもう一人いるよね)」
実況の声と共に入場してきたのは先ほどヒトミにやさしく声をかけてくれた女性
「あ!」
「ふふっ、また会ったわね」
「あの人がチームリーダーか」
「ホーリーの要素はここにあるんだろう」
ヒトミが驚く中控室ではヤイバとシュンが微妙にずれた会話をしていた
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」
「ロゼンジ・メイガス!」
「ホワイトネス・ラビット」
「!」
ヨシノがライドしたウサギの姿のユニットに再び驚かされるヒトミ
ホワイトネス・ラビット、グレード0のオラクルシンクタンクのユニットだ
「オラクル使い!?」
「同じデッキ同士のファイトか………難しいファイトになるな」
観客席のアリサも驚いて声を上げていた
デッキのクランが同じということは構築によって違いはあれど大筋の動きも大体同じ
あとはファイターの力量次第
「矢代にはきついファイトになるな」
「ライド、クォーレ・メイガス、山札の上から2枚確認し、好きな順番で戻して、ロゼンジの効果で1枚ドローして、ターン終了」
「後攻ならこの後ドライブチェックでもう1枚も手札入れられたんだけどな」
「まあ、毎回後攻になるわけがない、ねだってもしようのないことだ」
「ライド、雅趣の斎女 フミノ」
釣り人のような少女のユニットにライドするヨシノ
「フミノのスキル、ソウルブラストして、山札の上から7枚確認して、グレード3のカードを1枚山札の上に、宝刀の斎女 シヅキを山札の上に、残りを山札の下に置き、パワー+2000、ホワイトネスのスキルで1枚ドロー」
「へぇ、もうソウルにホワイトネスないのにドローできるんだ」
「フミノがライドされた時点でスキルの発動は確定しているからな、ホワイトネスがソウルからいなくなっても確定したスキルがなくなるわけじゃない」
アリサの疑問に石田先生が優しく答えてみせる
わかりやすい解説に思わずタクヤも声を上げていた
「フミノ(10000)でクォーレ・メイガス(8000)にアタック」
「ニケ(15000)でガード」
フミノの釣り竿から放たれた光がニケに当たってはじける
Drive check
【オラクルガーディアン ジェミニ】
トリガーなし
「ガードするのか」
「考えられる理由は2つ、クォーレで積み込んだのが両方重要なカードだった場合」
「もう一つは?」
「単純に手札が悪くて守れるうちに守っておきたい場合、しかしシヅキか………」
「どうかしたのか?」
ヨシノの公開したカードにシュンが考え込んでいることにヤイバが首をかしげる
「いや………シヅキはリアガードで有効なユニットだ、ヴァンガードにはおそらく別のユニットを置きたいはず………」
シヅキはリアガードで使えるスキルを持つがヴァンガードサークルでは効果を使えない
おそらくヨシノがメインに据えているのは何か別のユニットのはず
シュンはそう考えていた
「ライド!レクタングル・メイガス。続けてクォーレ・メイガスをコール」
レクタングルにライドしたヒトミの隣にクォーレが並び立ち杖を掲げる
「クォーレの効果で山札の上2枚を確認し、好きな順番で元に戻す、レクタングル・メイガス(9000)でフミノ(8000)にアタック!」
「ノーガード」
Drive check
【オラクルガーディアン ニケ】
クリティカルトリガー
クリティカル=レクタングル・メイガス(クリティカル2)
パワー=クォーレ・メイガス(18000)
レクタングルの放った光がフミノを包み込む
1st damage
【鳳翼の斎女 チヅル】
トリガーなし
2nd damage
【サイキック・バード】
クリティカルトリガー
クリティカル=雅趣の斎女 フミノ(クリティカル2)
パワー=雅趣の斎女 フミノ(18000)
「クォーレ・メイガス(18000)でフミノ(18000)にアタック」
「ジェミニ(10000)でガード」
クォーレが杖を振るい光を放つ
だがその光をジェミニが放った光線が相殺する
「ターンエンド」
「ダメージトリガーがなかったらこのターンだけで3点持っていかれてた」
「強いわねえ彼女、前にショップで見かけたときはそんな雰囲気なかったけど」
「そういえば私もあの子のファイトは初めて見る」
「ライド!鳳翼の斎女 チヅル!寛容の女神 オオミヤノメ、霊光の斎女 キヌカ、オラクルガーディアン ジェミニをコール」
「ヴァンガードの後ろにもコールしてきたか」
「点差がついたから無理やりにでも追いつきに来たな、出してきているユニットからして本来は序盤でペースを取るタイプのデッキなんだろう」
「チヅルもキヌカも詰めの局面で活きるユニットだからな」
「加えて序盤を固めるフミノも入っている、かなり考えられてデッキだ」
「オオミヤノメ(6000)のブースト、チヅル(15000)でレクタングル(9000)にアタック」
「ノーガード」
Drive check
【鳳翼の斎女 チヅル】
トリガーなし
チヅルの舞で発生した風でレクタングルが攻撃を受ける
1st damage
【ステラ・メイガス】
トリガーなし
「ジェミニ(8000)のブースト!キヌカ(16000)でレクタングル(9000)にアタック」
キヌカの手のひらに現れた人を模した紙が無数に増えレクタングルに襲い掛かる
2nd damage
【レクタングル・メイガス】
トリガーなし
「(手札があれだけあって防げないとも思えない………わざと通したわね)」
「スタンドアンドドロー!手繰り寄せた運命のその先へ!ライド!ヘキサゴナル・メイガス!」
手を広げながら姿を現す青い衣装の女性ユニット
「イマジナリー・ギフト!プロテクト!さらにヘキサゴナルのスキルで山札の上2枚を確認し、1枚ドロー」
これでヒトミの手札は7枚、この枚数なら一気に攻撃に出ることができる
「さらにクォーレを後ろに下げ、レクタングル・メイガスをコール!レクタングル・メイガスのスキル、カウンターブラスト、ソウルブラストを支払って山札の上を2枚確認」
「あのユニットも同じスキルがあったんだ………あれ?だったらなんでライドした時?」
「レクタングル・メイガスが登場時能力を使えるのは、リアガードの時」
「あ、なるほど」
「これはこの順番で戻して………ロンバス・メイガスとサークル・メイガスをコール」
更に開いていた左列にもユニットをコールして攻撃態勢を整える
「ヘキサゴナル・メイガス(12000)でチヅル(9000)にアタック」
「ノーガード」
Twin drive check
【サークル・メイガス】
トリガーなし
「サークル・メイガスのスキルでこのカードは一番下へ」
「なるほど、それでサークル・メイガスを呼んでおいたんだ」
「さてはあいつ、レクタングル・メイガスで見た2枚両方はずれだったな」
2nd check
【オラクルガーディアン ニケ】
クリティカルトリガー
クリティカル=ヘキサゴナル・メイガス(クリティカル2)
パワー=ロンバス・メイガス(19000)
ヘキサゴナル・メイガスの放った光がチヅルに襲い掛かる
3rd damage
【霊光の斎女 キヌカ】
トリガーなし
4th damage
【雅趣の斎女 フミノ】
トリガーなし
よろめいたチヅルにさらにレクタングル・メイガスが襲い掛かる
「クォーレ・メイガス(7000)のブースト、レクタングル・メイガス(22000)でチヅル(9000)をアタック!」
「ニケ(15000)でガード」
レクタングル・メイガスの放った光をニケが体当たりして止める
これでこのターンには決めきれない
「それでも、サークル・メイガス(7000)のブースト、ロンバス・メイガスでチヅル(9000)にアタック」
5th damage
【時運の女神 ミズノハメ】
トリガーなし
「やったぁ!これでダメージ5」
「相手が動き出す前にコレだけ差をつけられたのは大きい!」
「逆に言えば………」
アリサとスグルの言葉を石田先生が遮った
「相手の本気はここからってことだ」
「スタンドアンドドロー」
「(来る………グレード3)」
「光り輝け、美しき女神!ライド!」
「!!」
「CEO アマテラス!」
鈴の音が響き渡る中巨大な光の柱が出現する
鈴の音とともにその光の中を降り立つ一人の女神
光が消えるとともに自らの首からかけていた鏡がその光を反射する
着物を翻しながら優雅に表れた女神は笑みを浮かべた
「あれってお姉ちゃんと同じ!?」
「いや、矢代さんデッキ変えてからはアマテラス使ってないし、デッキの軸を変えたときに外したんじゃないかな?」
「とはいえこれは精神的に来るぞ」
「アマテラス………」
ついこの間まで自分が愛用していたユニット
「あなたも使っていたことがあるのよね、このユニット」
「ええ………伸び悩んでデッキを変えたので、今は使ってないんですけど」
ヨシノの問いかけにヒトミは静かにそう答えた
「イマジナリー・ギフト、プロテクト、鳳翼の斎女 チヅル、宝刀の斎女 シヅキをコール」
ユニットを一気に並べてきたヨシノだがその代償として手札が減ってきてしまっている
ダメージ5の状態でこの手札の枚数はきついはずだが
「シヅキのスキル、カウンターブラスト2枚とソウルブラスト1枚で2枚ドロー、前列のパワー+5000、チヅルのスキル、カードをドローした時カウンターブラストしてパワー+10000、ブーストを得る、キヌカも同じようにパワー+10000、続けてジェミニをソウルへ、カウンターチャージ」
「アマテラスのスキルって確か………」
「アマテラスのスキル、カウンターブラストを支払い1枚ドロー、山札の上を確認し、これは下に、再びキヌカのスキル」
「+20000!?あのユニットのスキルって何度でも使えるの!?」
「手札も5枚に増えてる、カウンターブラストを使い切っても、追いつきたい局面でこの手札とパワーは大きい、ダメージが劣勢な分ヒールトリガーの線もある」
「オオミヤノメ(6000)のブースト、アマテラス(28000)でヘキサゴナル・メイガス(12000)にアタック」
「ノーガード」
Twin drive check
【霊光の斎女 キヌカ】
トリガーなし
2nd check
【オラクルガーディアン ニケ】
クリティカルトリガー
クリティカル=CEO アマテラス(クリティカル2)
パワー=霊光の斎女 キヌカ(38000)
アマテラスの鏡から放たれた光がヘキサゴナル・メイガスに降り注ぐ
3rd damage
【ロンバス・メイガス】
トリガーなし
4th damage
【ヘキサゴナル・メイガス】
トリガーなし
「チヅル(20000)のブースト、シヅキ(32000)でヘキサゴナル・メイガス(12000)にアタック」
シヅキが剣の柄を握りまっすぐ突っ込んでくる
そのまま抜刀してヘキサゴナル・メイガスを切り伏せた
5th damage
【クォーレ・メイガス】
トリガーなし
「キヌカ(38000)でヘキサゴナル・メイガス(12000)にアタック!」
キヌカの放った光がヘキサゴナル・メイガスに向かっていく
「うわぁぁ!?お姉ちゃん!?」
「いや、大丈夫だ」
「プロテクト(守護者)でガード!」
プロテクトの輝きがヘキサゴナル・メイガスを攻撃から守った
光に当たってキヌカの攻撃が後方に直撃し大きく煙が上がる
「すごい………アマテラスにはこんな可能性もあったんだ………」
「どうしたの?あなたのターンよ」
「そっか、お姉ちゃんまだプロテクトが残ってたんだっけ」
「アマテラスの攻撃の時に切らなくて正解だったな、序盤のガードも利いてる」
「(すごかった………私がこのデッキで見つけた可能性は、たくさんあるうちのほんの一つでしかない、でも………)」
同じクランで新たな可能性に触れたことで気持ちが高鳴るヒトミ
「今は、その可能性を信じたい、そして、もっといろんなことに触れてみたい」
意を決してドローしたカードを見て口元を緩める
「ヨシノさん!」
突然声を掛けられ驚くヨシノだったがヒトミのその表情を見て彼女もまた口元を緩めた
「今日、ヨシノさんと会えて、ファイト出来てよかったです」
「ふふっ、私はまだあきらめてないわよ」
「いいえ、ここで決めてみせます!」
手に取ったカードを掲げるヒトミ、その表情は晴れやかだった
「降り注げ!聖なる守護の光!ライド!」
空からの光に包まれながら一人の女性がゆっくりと降り立つ
「ペンタゴナル・メイガス!」
「出た!矢代の新しい切り札か!?」
「この局面でペンタゴナル・メイガス………」
「イマジナリー・ギフト!プロテクト!さらにテトラ・メイガスをコール!」
テトラ・メイガスが現れるとペンタゴナル・メイガスは真後ろの彼女に笑いかけ
テトラ・メイガスもそれに応じた
「テトラ・メイガスのスキルで1枚ドロー、サイキック・バードを山札の上に」
「これでドライブチェックの1枚目は確定………」
「テトラ・メイガス(8000)のブースト!ペンタゴナル・メイガス(20000)のアタック!そしてアタック時の効果!グレード3をソウルブラストして、2枚の手札を捨てる!これによってペンタゴナル・メイガスはクインテットドライブを得る!」
「クインテット………5枚ドライブ!?」
「それだけじゃねえぜ、ヴァンガードのペンタゴナル・メイガスはトリガーで上昇するパワーを15000に上げる効果を持ってるんだ」
「デッキの一番上はテトラ・メイガスで置いたサイキック・バード、下手にガードすれば突破される」
「なら!プロテクト(守護者)で完全ガード!」
Quintet drive check
【サイキック・バード】
クリティカルトリガー
クリティカル=ロンバス・メイガス(クリティカル2)
パワー=ロンバス・メイガス(24000)
2nd check
【ヘキサゴナル・メイガス】
トリガーなし
3rd check
【オラクルガーディアン ニケ】
クリティカルトリガー
クリティカル=レクタングル・メイガス(クリティカル2)
パワー=レクタングル・メイガス(34000)
4th check
【ステラ・メイガス】
トリガーなし
5th check
【テトラ・メイガス】
トリガーなし
「クォーレ・メイガス(8000)のブースト!レクタングル・メイガス(42000)でアタック!」
「(この攻撃を防ぐことはできても………次のロンバス・メイガスのパワー32000のアタックは止められない………)ノーガードよ」
レクタングル・メイガスの杖に集まっていた光がアマテラスを貫く
6th damage
【CEO アマテラス】
「やったぁ!」
勝利した喜びで大きく跳ねるヒトミ
きっとこの一勝は彼女にとって大きな自信につながることだろう
後書き
次回予告
「同じオラクルでもずいぶん違うんだなぁ」
「どちらかっていうと前に矢代が使ってたデッキに近いかな」
「アリサのウィッチとも似た防御寄りの構築とも思える
turn:30 二人の竜使い
「そういえば矢代はアリサとはファイトしねえの?」
「あ、大会に向けての準備で忙しくて………」
「口には出さないけど拗ねてたりしてな」
「終わったらファイトしよう………」
ページ上へ戻る