『同盟代議院』
下院の任期は2年で、選挙のたびに全員が改選される。解散はない。下院選挙は2回に1回は最高評議会議長選挙と同時である。議長選挙の無い年の選挙は中間選挙と呼ばれる。
下院の権限として最高評議会議員及び行政委員の指名案作成権がある。ただし、指名案について上院が否決することもある。また、議会の最も重要な立法権については上院と同等の権限である。
人数が非常に多く、兼務を禁止された常任委員会のみでも平均的な共和国の本会議に準ずるが集まる。そのため旧西暦時代以上の委員会中心主義をとっており、重要な政治問題については専門の特別委員会が設置される。
各院内会派政策部会での事前協議が若手政治家の活躍の場として注目の対象になる。
最高評議員(行政府)、及び同盟裁判所判事(司法)を含む同盟政府公務員に対する弾劾裁判では、下院の単純過半数の賛成に基づく訴追を受けて上院が裁判し、上院2/3多数の賛成により弾劾対象者を免職できる。
【国民共和党】
ロイヤル・サンフォードが総裁を務める第一党
中道右派の国民政党を標榜しているが、良い意味でも悪い意味でも多様な包括政党である。
成り立ちは古く、伝統的に各共和国独自の政党から同盟議会への進出の受け皿となっている。
その為、「小上院」や「利権の分配所」と言われるように派閥争いが著しく、総裁の権限が強いが総務会や幹事など党役員の意向が反映されやすく、腰が重い面もある。
近年はタレント議員や著名な軍人、官僚上がりなどが地方議会を経験せずに直接国民共和党から出馬する若手が増えているため、党内の派閥争いが激化しつつあり、各方面から非難されながらもつづいてきた共和国党人のノウハウが失われつつある。
・地方党人派(保守本流)=ロイヤル・サンフォードが率いる派閥。上述のように多様な構成国の状況により意思決定が遅く、結果として利益分配の為の派閥となっているが、総務会や政調会において巧みに地方と同盟政府の間で調整を行ってきた。保守政党としての国民共和党の本流であるが、防衛戦争と戦火による地域間格差拡大により、対応しきれていないのが実情。
中央派(保守傍流)=トリューニヒトをホープとする派閥。退役軍人と官僚、財界、メディアタレント出身が主体となった派閥。選挙と政局に弱く、地方党人派と連帯して勢力を保っていたが、政局に強いトリューニヒトと発信力が高いウィンザーが主導権を争っている。
【自由党】
ジョアン・レベロが党首を務めている。
都市政党であり、金融や財界、そして知識人達の政党。
国防費の増大からスタグフレーションを恐れており、均衡財政論を唱えている。
イゼルローン要塞の攻略を強く求めている者や、小同盟主義として地方政府を独立させて改革を行う反戦自由主義者などがいるが、概ね(都市部から見た)現実主義路線を採用している。
都市政党ではあるが故に党の統制という点では最も優れており都市部出身の同盟弁務官を含め常に一定の強固な勢力を維持している。
・正統派=個人主義的ハイネセン主義を掲げる自由主義団体、小さな政府を志向する。
・民権派=共同体的ハイネンセン主義との和解を目指し、機会の平等のための修正主義を志向する。反組合のホワイトカラー労働者などからも支持を集めている。
【労農連帯党】
ホアン・ルイが中央執行委員長を務めている、地方を主体とした中道左派政党。
フリープラネッツ労働組合総連合と自由農民組合連合会が巨大な支持基盤。
地方とつながりが強い為、親軍路線だが「良い軍は豊かな国民から生まれる」と「民力あってこその軍」と唱え兵卒の待遇改善運動や地方への財政出動を唱えている。
一方で「総連合」ともども民需産業と軍需産業や地域間の対立に振り回されている点では国民共和党本流と似た悩みを抱えている。
組合派=労働者主権を唱える修正主義的派閥。幅広く支持を集めているが従事する労働者の数から大企業の問題などが中心となりがちで地方では弱い。
中道派=公共系の労連や退役軍人左派等が中心幅広く漸進的な改革を進めていることから無党派層から徐々に支持が伸びている。
地方派=地域産業の中小企業や左派団体から支持を集めている会派、構成邦独自色が強い労農系政党の基盤が多い。
【主権者自治連合】
旧国民共和党系や同盟政党に加盟してない政党らが連合して生まれた地方分権派政党。
同盟政府から構成邦政府への権限・財源の移譲を求めている。
永年野党ではあるが、地方議会たたき上げのベテラン政治家達が党組織を支えており、法案の修正などで巧みに立ち回っている。
イゼルローン要塞建造後から強まる同盟政府の権限や増税などにより、主要政党への不満から支持が高まり、現在は第四極とまで言われるようになった。
【反戦市民連合】
バーラト共和国を中心とした反戦派政党。
弱小政党であるが反徴兵制などを訴えており、近年徐々に支持を伸ばしている。
【人民防衛運動】
亡命者受け入れの厳格化、反ブルジョア、反平和主義、反個人主義的ハイネセン主義等を掲げる国粋主義政党。
イゼルローン要塞の早期攻略のための軍拡、国民皆兵、同盟政府への権限集約などを掲げる。
【無所属】
自由惑星同盟とは強大な国家なれどその内実はいうなれば千差万別の構成共和国によって成り立っている。主要党派に属さぬ彼らを結束なき有象無象と笑う事は簡単であるが、同盟にはフェザーンやオーディンのインテリゲチアの哲学では思いもよらぬ『理由』が根付いている。その『理由』が、今もなおその地に住まう人々により支持されているのであれば、軽率に笑う者は痛い目を見るだろう‥‥
【同盟弁務官総会】
自由惑星同盟の上院、自由惑星同盟構成共和国の代表者たちによって構成された議会。
それぞれの「共和国」から同盟弁務官が3名ずつ選出されており、党議拘束は原則的に存在しない。任期は6年で2年ごとに3分の1が改選される。
最高評議会議長指名人事については下院に発議権があり、議長と下院に「助言と同意」を与える権限は上院が保持している。弾劾裁判においては下院による訴追に対して上院による裁判と役割が分担される。予算案および関連法案については下院に発議権がある。予算案を含むすべての法案が成立するためには上下両院での承認が必要であり原則として対等である。
【民主主義の縦深】
通称【縦深】は同盟弁務官総会(上院)独自の院内会派であり、イゼルローン回廊に近い【交戦星域】の構成国選出同盟弁務官達による会派。
強固な地域主義の権化であり、上院院内会派としては異例の団結力を持っている。
彼らの出身は『銀河連邦サジタリウス準州』が発端となったロストコロニーが多いのが特徴である。
またほぼすべての国がコルネリアス1世の大親征以来、最前線として多くの血を流してきた。 彼らの前で『距離の防壁』を口にしたものは勇気がある人間というよりもサイコパス的な感性の持ち主と周囲からみなされるだろう。
会派としては異例なことに3分の1――つまりほぼ全ての構成邦が一人の弁務官を安全保障委員会に送り込んでおり、安全保障体制の構築、復興支援を求めている。
彼らは――前線として同盟政府の支援を必要としている事もあり――ほぼ全員が大きな政府によりコミュニティとして人々の自立と自尊を支援する共同体的ハイネンセン主義を基幹とした政治思想を抱いた労農連帯党と国民共和党系の弁務官で構成されている。
【自治政策改革倶楽部】
バーラト共和国を中心とした首都圏と【交戦星域】の中間に存在する構成邦を中心とした最大会派
サンフォードの現状維持路線を支持しているが【縦深】と連携する事も多い。
数が多いが故に会派としての方針をまとめきれず自主投票となることも多く。一方で構成邦政府とのやり取りを通じた横のつながりも強い、緩やか故に複雑怪奇な会派。
良くも悪くも【同盟上院】の象徴ともいえる特徴を持つ。
【自由の同志達】
【バーラト首都圏】を中心とした構成邦を中心に構成された院内会派
各共和国の自立と同盟政府の減税、過剰な権限集約への反対を掲げている。
事実上、自由党の別動隊
【通商政策研究会】
フェザーン航路沿いの都市国家群を中心とした会派
同盟政からの分権化による構成邦への負担軽減を求めている。
【上院無所属】
同盟弁務官の中でもそれぞれ国家の便益を代表するのであれば会派に属する必要もない。
同盟弁務官たちの少なからぬ割合は常に会派とは距離を置き、個別の議案について、投票までの間の時間と弁務官同士の関係性を利用し自身と国家の利益の為に動き周り、周囲を牽制している。
彼らを見れば同盟弁務官は議員であるのと同時に諸共和国の外交官としての面を持っているのだと納得するだろう。